アメリカの俳優 ダスティン・ホフマンが9日、都内で行われた映画『カルテット!人生のオペラハウス』の来日記者会見に登場した。

映画『カルテット!人生のオペラハウス』の来日記者会見でD・ホフマン(左)にキスされる樹木希林

同作は、『クレイマー、クレイマー』(1979年)や『レインマン』(1988年)でアカデミー賞主演男優賞を獲得している名優 D・ホフマンが初めて監督を務めた作品。とてもにこやかな表情で会見場に現れたD・ホフマンは「皆さん、今日はお越しいただきありがとうございます。映画を観てもらった方は楽しんでいただけたことと期待しています。もし、まだ観ていない人がいたらどうぞ今退出して下さい」と茶目っ気たっぷりにあいさつした。

長年、映画監督に挑戦したいと思っていたが、色々なタイミングが折り合わず実現出来なかったと話すD・ホフマンは「今回はとても脚本を気に入ったんです。35年以上連れ添っている妻に"あなた、今やらなかったらいつやるの!? もう75歳じゃない。この作品を監督しないなら私はあなたと別れるわ"と言われたんだ」と同作にまつわるエピソードを披露し、「だから僕は、この作品を手がけて、ヒットしなかったから、"僕がお前と別れるぞ"と言い返してやったんだよ」と少年のような笑顔を覗かせた。また、この作品には多くのクラシック楽曲が使われているが、一番好きな楽曲は何かと聞かれると「今回の映画で使われている曲は全部好きだよ。僕は元々ピアニストになりたかったんだけど、そこまでの才能がなかったので、第二志望だった俳優になったんだ」と過去を打ち明けた。

会見にはD・ホフマンの大ファンだという女優の樹木希林がデジタルカメラを持って登場。すると、開口一番「先ほど、香りのあるブレスレットをもらったんです。私は歳をとったので、"もの"を整理したくて、もうあまり"もの"をいただきたくないと思っていたのですが、申し訳ないのでいただきました」と会場の笑いを誘い、D・ホフマンに「僕らは40年前によく一緒にデートしましたよね」とジョークを飛ばしながらキスをされると「すいません、私には40年間別居している夫がいまして。非常に困りました。今だに愛情をもち続けてくれているので、ヤキモチで、殺されないようにしないと」と、樹木節をさく裂させた。

映画の舞台は、引退した音楽家たちが暮らすビーチャム・ハウス。そこで穏やかに余生を送るレジー、シシー、ウィルフは、近く開かれる重要なコンサートの準備に追われていた。そんな中、昔、野心とエゴで皆を傷つけ去っていったカルテット(四重唱)仲間で、大スターのジーンが新たな入居者としてやってくる。コンサートが成功しなければホーム閉鎖という危機を迎え、誰もが伝説のカルテット復活に期待を寄せるが、過去の栄光に縛られたジーンは歌を封印していた。映画『カルテット! 人生のオペラハウス』は、4月19日より、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほかで全国順次公開。