例えばメガネ型の端末には、目の前にいる外国人の親子が話している内容について、日本語の字幕が表示される。教育、医療、ビジネスシーンなども劇的に変化する。

身の回りのあらゆる物がクラウドサービスと融合し、ライフログに記録される時代が来る

そうした近未来に欠かせないのが、クラウドサービスとなる。それはアプリ、ビッグデータ、ネットワークの3大要素から構成される。孫社長は「今後10年間で、人の扱うデータ量は30倍にまで膨れ上がるだろう」との見方を示す。ソフトバンクでは、こうした膨大なビッグデータの中から「宝」となる情報を見つけ、経営に活かす活用術をいくつも実行に移し始めているという。

クラウドサービスはアプリ、ビッグデータ、ネットワークの3大要素から構成される

ビッグデータ活用事例

ソフトバンクのビッグデータ活用事例その1として、孫社長は「パケット接続調査」について説明した。同社では月に1.9億件ものアプリ通信ログをユーザーから集め、データ接続できているかどうかを調べているという。

具体的にはソフトバンク、NTTドコモ、KDDI(au)のユーザーが所持している端末(各36,000台)にインストールされている「防災速報(ヤフー提供)」「ラーメンチェッカー(Agoop提供)」アプリから、30分ごとに情報を集めている。10秒以内にデータ接続が確認できない場合は「パケ詰まり」と判断されるこの調査において、「ソフトバンクは全国調査でも都市部・住宅地の調査でも接続率ナンバーワンとなった」と胸をはった。

ソフトバンクでは毎30分ごとに寄せられる膨大なアプリ通信ログを利用して、パケット接続率を調査している

ソフトバンクは、全国調査でも都市部の調査でもパケット接続率でNo.1を獲得した

繋がったネットワークはLTEか3Gか、時間帯別ではどうか、ランドマーク別ではどうか、などの詳細なデータも得られている。ソフトバンクではこのビッグデータを利用し、「次はどの場所に基地局をうつべきか」を検討しているという。

ソフトバンクでは効果的な次の一手を打つべく、ビッグデータを利用している

マーケティングにも利用

孫社長はビッグデータ活用事例その2として、「ツイートの解析」を挙げる。8,200万件にも及ぶソフトバンクに関係するつぶやきを無作為に抽出して分析しているという。

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