三重県の三重交通は、かつて伊勢地区を運行していた路面電車「神都線」をモデルとしたバスを製造する。1938(昭和12)年に製造された神都線モ541形式543号車をベースに、外観も内装も徹底的に路面電車風にこだわった珍しい車両になる予定だ。
同車両は、今年行われる伊勢神宮式年遷宮に合わせ、参拝者の思い出にしてもらおうと、「懐かしさ」「新鮮さ」をコンセプトに企画した。
「神都線」は1903(明治36)年から1961(昭和36)年まで、おもに山田駅前(現在の伊勢市駅)~内宮前間および山田駅前~二見間を運行していた路面電車で、伊勢神宮の参拝者や伊勢・二見地区の観光客の移動手段として利用されていた。
今回、同社は新車のワンステップバスを改造し、丸い屋根や集電ポール、二段式窓枠、外板のリベットなどで路面電車の外観を再現。神都線の特徴であった取り外し式のヘッドライトも忠実に再現する。内装は木目調とし、室内灯や室内シート用モケット(生地)、金属パイプなども当時の色調や形状に近づける。投資額は、新車購入費用と改造費用をあわせて約7,000万円。完成後は、「神都(しんと)バス」と名づけられ、宇治山田駅前~伊勢市駅前~外宮前~内宮前を運行する予定。