財務省は8日、2月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は6,347億円で、4カ月ぶりに黒字に転じたことがわかった。貿易赤字は続いているものの、所得収支の黒字幅が拡大し、貿易収支の赤字を補う形となった。

ただし、前年同月比で見ると黒字幅は47.0%減とほぼ半減し、季節調整済経常収支も1億円の赤字と、1996年以降2回目の赤字となった。

貿易・サービス収支は、7,306億円の赤字。赤字は11カ月連続で、赤字幅は前年同月比で7,264億円拡大した。これは、サービス収支は赤字幅を縮小したものの、貿易収支が赤字転化したため。

貿易収支は、前年同月より7,723億円悪化し、6,770億円の赤字。中国・EU向けを中心に輸出が減少した一方、鉱物性燃料を中心に輸入も増加したことで、8カ月連続の赤字となった。

輸出額は5兆659億円で、前年同月比1,820億円(3.5%)減少。輸入額は5兆7,428億円で、前年同月比5,903億円(11.5%)増加した。なお、輸出は前年同月比で2カ月ぶりの減少、輸入は同4カ月連続の増加となる。

2月の経常収支(速報)(出典:財務省Webサイト)

また、同省関税局がまとめた2月分貿易統計(通関ベース)によると、輸出額は5兆2,831億円で、前年同月比1,595億円(2.9%)減少。主要地域別では、対米国が同539億円(5.7%)増、対アフリカが同330億円(42.2%)増などとなったのに対し、対中国が同1,589億円(15.9%)減、対EUが566億円(9.6%)減などとなった。

商品別に見ると、有機化合物が前年同月比482億円(31.7%)増加。一方、自動車は同463億円(5.3%)減、金属加工機械は同274億円(23.9%)減、半導体等電子部品は同270億円(9.8%)減などとなった。

輸入額は6兆626億円で、前年同月比6,458億円(11.9%)増加。主要地域別では、対中国が同2,022億円(22.0%)増、対中東が同1,712億円(14.4%)増、対EUが同563億円(11.2%)増加した。

商品別では、原粗油が前年同月比1,332億円(12.3%、数量2.7%減)増、液化天然ガスが同962億円(19.1%、数量1.9%減)増、衣類・同付属品が同674億円(47.5%)増加した。

サービス収支は563億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で459億円縮小。これは、輸送収支が赤字幅を拡大したものの、旅行収支が赤字幅を縮小したのに加え、その他サービス収支が黒字幅を拡大したため。

所得収支は1兆4,074億円の黒字で、黒字幅は前年同月比で1,635億円拡大。配当金・配分済支店収益の支払減少等により直接投資収益が増加したほか、配当金や債券利子等の受取増加により証券投資収益が増加したことから、黒字幅は3カ月連続で拡大した。

一方、資本収入については、1,317億円の流出超(前月6,075億円の流入超)に転じた。