米Mozilla Foundationは4月3日(現地時間)、次世代Webブラウザエンジンとして「Servo」を韓国Samsung Electronicsと共同開発していくと発表した。ServoはMozillaプロジェクトの1つである「Rust」というプログラミング言語をベースにした新しいレンダリングエンジンで、主にARMやAndroidといったモバイル環境を想定した軽量動作を主眼に入れている。現行のGeckoエンジンの今後については不明だが、Mozillaでは今後Servoにより多くの開発リソースを割いていくと説明する。
Servoの特徴の1つは前述のようにモバイル用途をターゲットとした軽量エンジンであるほか、新世代のプログラミング手法を積極的に取り入れた点にある。Servoの開発言語であるRustはここ数年にわたってMozillaが推進しているオープンソースの開発言語で、従来のC/C++言語に似た文法を持ちながら、マルチスレッド(マルチコア)動作に最適化された動作構造やコンパイラ方式などを採用している。「Safe by default」が特徴の1つで、メモリ管理が理由でセキュリティホールが存在する問題等を回避するのに有効だという。なお発表同日でRust v0.6がリリースされている。Mozillaによれば、SamsungはすでにARMを含むバックエンドコードの一部で同プロジェクトへの貢献を行っているなど、今後も共同での開発を進めていく意向だという。なお、Servoについてもオープンソースでのコード公開が行われており、GitHubでソース閲覧が可能だ。
同件はMozilla Foundation CTOのBrendan Eich氏によってBlog上で発表されたものだが、現在Firefoxのレンダリングエンジンに採用されているGeckoについての言及は特にない。Geckoはもともと1990年代後半にNetscape 1.0用に開発されたレンダリングエンジンで、その後プロジェクトがMozillaのメンバーに引き継がれた後も粛々とバージョンアップを重ねてきた。だがWebを取り巻く環境はここ最近になり急速に変化しており、前述のようにPC向けからスマートフォン/タブレット向けと主なターゲットが移り変わりつつある。Eich氏も今後はリソースの多くをServoへと振り向けていくということで、プロジェクトの中心もGeckoからServoへと徐々に移管していくものと思われる。