皆さん、こんにちは! フィスコリサーチレポーターの三井智映子です。前回ご紹介した銘柄選びのポイント、もっと詳しく知りたい! というご意見を頂きましたので、今回も銘柄選びについて書きたいと思います。
アナリストが企業に取材する時、まず何を聞くか?
アナリストが取材する時、まず何を聞くと思いますか? 答えは会社概要。資料をみてから取材をしているので、聞かなくてもわかりそうですが、どの企業に取材しても同じ流れのようです。
先日ユナイテッドアローズさんに取材に行かせて頂いた時のこと。私はユナイテッドアローズさんの服が好きで、ルミネでも良く買ったりします。特にルミネカードが10%OFFの時期はかならず立ち寄っちゃうお店。男性のデート服としても定番、というイメージですよね、という話題にもなりました。ブランドとしてイメージが確立できているし、テナントの立地がいいことは強みかな? と思っていました。
先輩アナリストさんはユナイテッドアローズの服を着たことがないと言っていましたが、資料などで読み解いた情報や疑問を、取材の場でぶつけているのです。
何をやっている会社で強みは何か?
その強みを活かして最新の業績数値はどうなっているか?
今期予想はどうなのか?
中期的な成長シナリオと株主還元への考え方は?
ということをしっかり押さえていらっしゃいました。さすが! この4つが企業分析のキモ! なんだと思います。それを分析する入口としては、ここの企業は伸びているな、ここの服が好きだけど、どんな会社なんだろうと、好きだったり興味があったりする分野の株から調べて買ってみてはいかがでしょうか。
株価の変動要因とは?
ここで私も勉強をした株価の変動要因についてご紹介します。株価というものは需要(買い手)と供給(売り手)のバランスにより決まるわけですが、そうしたバランスをつくるさまざまな要因があって、需給は変動するわけですね。マーケット全般の変動要因の主なものは景気、金利、為替、企業収益です。景気は経済指標ともいえますが、今は主にアメリカの雇用統計や製造業景気指数、中国のPMI(※1)やGDP(※2)により日本の市場が変動するという側面もあります。
※1 PMI(購買担当者指数) : 企業の購買担当者を対象にした景況感調査。新規受注、在庫、生産、雇用、などを指数化し、50が景気拡大・後退の分岐点
※2 GDP(国内総生産) : 一定期間内に国内で生産された財やサービスの付加価値の総額。外国人による国内での生産を含み、自国民によって海外で生み出された財などは含まない
景気が良くなると株価は上がります。預貯金から株式にお金が流れていきますからね。また金利が下落すると企業にとっては、借り入れしている金利負担が軽くなりますからプラス要因です。
逆に金利が高いと、リスクを負ってまで株式投資しなくても預貯金で資産を増やせるため、株価は下がる傾向にあります。金利が上昇することは、基本的に株価にとってマイナスです。
為替の動きも株価に影響を及ぼします。電機、自動車などの輸出企業であれば円安は、収益の押し上げ要因になりますし、円高は原材料や製品の仕入れコストが低下するため、小売業や外食産業が恩恵を受けます。
そして個別株のチェックポイントは決算、新聞記事、企業が公表する月次動向などのリリース、各社レーティング情報などです。
一番重要なのは決算ですよね。決算を受けて株価がどう動くかは、市場予想の数字で会社予想の数字ではありません。新聞では買収、新製品、増産、業績などがあり、買収は以前ソフトバンク株の時に書いたように、資金負担が懸念される、ということもあります。月次動向は一般の方が取りやすい数字ですが、すぐに株価が反応するかというと微妙です。リリースは自社株買い(※3)やファイナンスなどがあります。ファイナンスにはCB(※4)、SB(※5)、公募増資(希薄化、需給悪の二つがマイナス要因)があります。ちょっと難しいお話になってしまいますが、結論から言ってしまうと通貨もモノも株も多い方が、価値が下がる、安くなるということ! 天秤で重い方が下がるように、相対的な多い少ないで価値が決まっているようです。需要と供給ってことですよね。
※3 自社株買い : 企業が市場から自社の株式を買い戻すこと。1株あたりの資産価値が向上、好材料となる
※4 CB(転換社債型新株予約権付社債) : 株式に転換する権利の付いた社債。企業が資金調達をおこなう手法の1つ
※5 SB(普通社債) : 企業が設備投資資金等を調達するために発行する債券。企業が資金調達をおこなう手法の1つ
『今どこに需要があるのか?』に着目を!
銘柄を選ぶ際は、『今どこに需要があるのか?』に着目していくと面白いかもしれません。今の世界情勢、流行、ニュース、それこそコンビニにだって"需要の種"はたくさんあると思います。その種を見つけて掘り下げて調べてみてはいかがでしょうか?
最後に余談となりますが、花柄パンツが流行っていますよね。花柄が流行るのは久しぶり。景気とも関係しているといわれています。70年代のサイケ柄ブーム、バブルのDCブランドに続き、景気への期待も反映されているのかも(単に20年周期くらいで流行がきているだけかもしれませんが)。
アンテナをはっていれば、全てが経済活動に繋がっているといっても過言ではありません。興味を持ったり調べたりすることで、いつもの通勤、通学時間がもっと充実するかもしれませんね。
執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 三井 智映子
共立女子中学校・高校を経て、早稲田大学政治経済学部へ。2001年から芸能活動を開始し、現在テレビ、CM、舞台などに出演。また、いち消費者とアナリストの中間的な存在であるフィスコのリサーチレポーターとしても、株式やFXの現場を取材レポートしています。