『花とゆめ』(白泉社刊)にて仲村佳樹氏が描く人気連載『スキップ・ビート!』。2008年にはアニメ化も行われた人気タイトルが、海を越えた台湾で、製作費&宣伝費1億台湾ドル(約3億円)をかけて実写ドラマ化され、大ヒットを記録した。
台湾版の実写ドラマでは、実力派女優のイーハン・チェンが主人公のキョーコ、ビアンカ・バイが琴南奏江、SUPER JUNIORのシウォンが敦賀蓮、同じくSUPER JUNIORのドンヘが不破尚を演じるなど豪華なキャスティングでも大きな話題を呼んだが、そんな注目作が、DVD-BOXとなって、2013年4月10日にリリースされる。
今回リリースされるDVD-BOXには、オリジナルの中国語音声に加え、日本語吹替版も収録。その日本語吹替版では、キョーコ役を『ツバサ・クロニクル』のヒロイン・サクラ役などでおなじみの牧野由依、琴南奏江役を『スマイルプリキュア!』でキュアサニー役を演じた田野アサミが担当する。アニメ声優として活躍する2人が初めて挑んだ実写版吹替。その感想なども交えて、2人が語ってくれた作品の見どころなどを紹介しよう。
牧野由依&田野アサミが語る『スキップ・ビート! ~華麗的挑戦~』
――最初に吹替の話を聞いたときはいかがでしたか?
牧野由依「ずっと魅力的なお仕事だと思っていて、いつかはやってみたいと思っていたので、『来た!』っていうのが正直な気持ちでした。吹替というお仕事には何か"職人"みたいなイメージがあって、ちょっと憧れる部分もあったので、自分にもそのチャンスがいただけたというのがすごくうれしかったです」
田野アサミ「私は声のお仕事を始めたばかりということもあって、最初にお話を聞いたときは『大丈夫かな?』っていう不安もあったんですけど、やっぱり『よっしゃー!』っていう気持ちのほうが大きかったです(笑)。でも、実際にどうしたらいいのかがまったくわかっていなかったので、現在お仕事をさせていただいているアニメの現場で、吹替をやったことのある方にお伺いしたんですけど、『ありのままのアサミでやりなよ』っていうアドバイスをいただいて迷いが吹っ切れて、ただ緊張でドキドキするだけじゃなく、『やってやるぞ!』って気持ちに切り替わりました」
――実際に実写の吹替をやってみて、アニメとは違っている部分はありましたか?
牧野「実写なので、絵ではなく実際に意思を持ってお芝居をなさっている人がいるわけですよ。たとえば、私が声をあてるイーハン・チェンさんの表情ひとつひとつには、そこに至るまでのプロセスがある。なので、私の声の演技も、それと同じプロセスじゃないとズレが生じてしまうんじゃないかっていう怖さがありました。アニメだと、現場や相手の方の雰囲気を汲み取りながら、それに合わせて全体の空気感のようなものを作り上げて行くのが楽しくもあり、難しいところでもあるのですが、すでに出来上がっている空気にあわせていく作業は吹替ならではかなって思いました」
――声をあてる対象の表情がすでに出来上がっていますからね
牧野「そうなんですよ。口の大きさも決まっているので、それをきっちりと合わせていかないといけない。役者さんの間に合わせるのが大前提ですが、やはりそこに何とか自分なりの雰囲気も入れていきたいので、いろいろと調整するのが大変で(笑)。こういったことも含めて、ひとつの技術なんだなって思いました」
田野「私は逆にアニメーションの声優をやったときに少し違和感があって、たとえば攻撃を受けたら『あー』って言ったり、振り返るときに『はあ』って言ったり……日常生活では絶対に言わないようなリアクションをつけなければならないじゃないですか。普段からおっしゃる方もいるかもしれませんが(笑)、通常は声を出さないようなリアクションにもひとつひとつ声をつけていかなければならないことに戸惑いを感じたんですよ。それに対して、実写の吹替の場合は、できるだけナチュラルな演技が求められるので、何となくこちらのほうが共鳴しやすいかなって思いました」
――アニメのときよりもスムーズに入っていけた感じですか?
田野「アニメのときよりは不安や理解し難いことは少なかったです。あと、人の息遣いがアニメと実写の吹替では全然ちがっていたのが印象的でした」