横山利香氏 |
ファイナンシャルプランナー(FP)が受け付ける相談ってどんなものがあるの? そんな好奇心をFPの横山利香さんにぶつけてみました。
横山さんいわく、「資産運用とは将来への不安を解消するための生活設計なので、お金持ちだけでなく一般的な収入の方たちも相談にくる」とのこと。では、その相談内容とは一体どんなものなのでしょうか?
お客さんは「将来の安心」作りを目指す普通の人たち
――はじめに、ファイナンシャルプランナー(FP)というお仕事は、どんなことをされるんでしょう。
「ファイナンシャルプランナーとは、お客さまの収入や支出、資産状況、家族構成などをもとに、ライフプランに即した将来への資金計画やアドバイスを行う仕事です。
私はファイナンシャルプランナーの資格、テクニカルアナリスト(チャート分析などから株式投資に役立つ情報を導きだす専門家)の資格を活かして、投資に関するセミナーを開催したり本を執筆したり、個人のお客さまの資産運用全般の相談をお受けしています」
――運用の相談にいらしゃるのは、やはりお金持ちなんでしょうか?
「そんなことはありません。巨額の資産をお持ちの方はプライベートバンキングの利用など選択肢も豊富ですが、そうでない方は相談できる相手がいないことの方が多いです。私のお客さまは、ごくごく一般的な収入の方が多いですね。著書を読んだとか、投資セミナーに参加したのがきっかけとかで、ご相談にいらっしゃるケースが多いです」
――そんなお客さまの相談内容とは?
「景気の低迷していたこれまでは、生活防衛的なご相談が多かったですね。住宅を購入したいが収入に見合っているかどうかとか、どうローンを組んだらいいかとか、あるいは保険の見直しについてアドバイスしてください、そんな相談です。
ただ、円安が進み、景気や経済の動向に明るい兆しが見えてきたので、これからはもう少し前向きな運用や投資の相談が増えていくんじゃないでしょうか。いまの若い世代の方は、公的年金にどれだけ頼れるのかなど、将来に大きな不安がありますよね。ご自身でいかに上手に資産運用を行って将来に備えるか、そんな自助努力が必要になっていると思います」
――運用や投資の相談に対して、どんなアドバイスを?
「例えば株式投資の相談をされたなら、まずは投資について書かれた本を1冊きちんと読んでくださいとお勧めします。投資に関するセミナーに参加するのもいいですね。まずは基礎知識を身につけていただきたいと申し上げます。その上で、一度実際に投資をしてみてください、そんなふうにアドバイスします。投資というのは"体感"がすごく大切なんです」
投資は孤独な作業、だから相談にのってあげられるFPが必要
――"体感"とはどういうことでしょう?
「よく専門家が"推奨銘柄"というのを紹介したりしてますね。基礎知識もなしにそうした銘柄を購入して、良い結果が得られたとします。でも、それってビギナーズラックで、いつか調整局面が来て、アレ! ってことが必ず起こります。その時どうするか、塩漬けにするのか、損切りするのか、その判断には基礎知識が必要になってきます」
――横山さんはご自身の"投資体験"をベースにしているとか?
「私は資産運用の相談業務を行うなら、自分自身も投資体験を持たないと本物のアドバイスはできないと思っています。こうなったら買いとか売りとか、本に書いてあるようなセオリーは、やってみて初めて実感として理解できます。知識と体験、両方が私たちの仕事には必要です。
投資というのは、一人でやるとすごく孤独を感じます。リスクは怖いし、自分の判断は間違っていないか、不安や迷いがつきまとう。そんなお客さまの相談相手になって差し上げるのに、自分自身の体験はとても大切な裏付けになるんです。
私自身、住宅、不動産、金融、税金、保険のことなど考えあわせて、将来の設計をしています。同じように、お客さまの生活設計のお手伝いをして、将来のより良い生活作りの手助けをして差し上げられたらうれしいですね」
profile
横山利香(よこやまりか)
ファイナンシャルプランナー、検定テクニカルアナリスト。企業に属さず独立系のファイナンシャルプランナーとして働く。株式や外貨投資、投資信託、不動産投資などを実践する個人投資家でもある。自身の体験をもとに執筆やセミナー、初心者向けの投資塾の開催の他、個人顧客の資産運用相談などを行っている。