映画『ラーメンより大切なもの~東池袋 大勝軒50年の秘密~』の制作発表会が29日、東京・台場のフジテレビ本社で行われ、印南貴史監督と西村朗プロデューサー、山田敏弘プロデューサーが出席した。
同作は、2002年、2005年、2011年の過去3回にわたって放送された、ラーメン店「東池袋 大勝軒」の店主・山岸一雄氏の人生を追ったドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)を映画化した作品。13年にも及ぶ記録映像に山岸氏の故郷・長野の情景を加えた同作は、"ラーメンの神様"と言われ創業から50年にわたって店を守ってきた山岸氏の人生と愛を描く内容となっており、ナレーションは俳優の谷原章介、エンディングテーマ曲を作曲家の久石譲が務める。映画は6月8日からシネマサンシャイン池袋ほかで全国順次公開予定。
西村プロデューサーは「誰にでも味の秘密を教えるような、親しみのある人物を皆さんに知ってもらいたい。ラーメンに一生を捧げる人と言うと怒鳴ったりするイメージがあるかもしれませんが、この映画は山岸さんが心に秘めてる愛の話」と話し、「素材からすべて洗い直したので、単なるダイジェストではない。ドキュメンタリーだからこその迫力があるので、スクリーンで観て欲しい」とPR。ナレーションを務める谷原は、「“ラーメンの神様”として知られる山岸さんの物語のナレーションをやらせて頂くのは、ラーメン好きとしてこれほど光栄なことはありません。昔の大勝軒の熱気やラーメンよりあったかい、熱い山岸さんの人柄を感じてもらえれば」とコメントを寄せた。
初めて店にカメラが入った2001年から現在まで、山岸氏を撮影し続けてきた印南監督は「正直、最初は味がよく分かんなかったけど、3時間くらい山岸さんと話して、不思議な魅力があるなぁと思った」ときっかけを語り、苦労したことについて「亡くなった奥さんとの寝室を見せてと言ったら、その後、2週間は口を聞いてくれなかった。傷に塩を塗るような行為だったので、インタビューした後は道端で泣きました。やる前も嫌だったし、やった後も後悔した」と打ち明けた。また、映画化について「本人も喜んでたので良かった」と話した印南監督は、「山岸さんは、人には言えない秘密を励みに生きてきた。ラーメン屋の話じゃなく、普遍的な愛の話です」と想いを語った。