携帯各社から発表される新機種といえば、ほぼスマートフォン一色といった昨今だが、「ガラケー」と呼ばれるフィーチャーフォンを使い続けている人も少なくない。いずれスマートフォンに乗り換えるとしても、何らかの事情により、もう少しフィーチャーフォンを使いたいという人もいるだろう。たとえば、携帯電話は仕事の通話用として主に使っているので、スマートフォンである必要はなく、むしろバッテリーの持ちがよくて、不具合の少ないフィーチャーフォンのほうが好都合だ、といった理由だ。

とはいえ、周りの友人がスマートフォンを使っているのを見て、自分もスマートフォンでTwitterやFacebook、LINEなどのSNSを快適に使いたいと思うことも多いかもしれない。そんなときに最適なのが、MVNO(仮想移動体通信事業者)の通信サービスである「楽天ブロードバンドLTE」を使ったスマートフォンの格安運用だ。

本稿では、楽天ブロードバンドLTEを利用し、スマートフォンを2台目端末として格安で運用する方法について紹介していこう。

楽天ブロードバンドLTEをドコモのスマートフォン端末で使ってみる

楽天ブロードバンドLTEとは?

まずは、楽天ブロードバンドLTEのサービスについて詳しく見ていこう。楽天ブロードバンドLTEは、楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズがMVNO(仮想移動体通信事業者)として提供する通信サービス。NTTドコモの携帯電話回線を使ったデータ通信を格安で利用でき、ドコモのLTEサービス「Xi」に加えてFOMAにも対応し、日本全国の幅広いエリアで使えるのが特徴だ。Xiエリアでは、下り最大112.5Mbps/上り最大37.5Mbpsの高速通信を利用することができる。

楽天ブロードバンドLTEは、SIMカードを提供するサービスとなっており、スマートフォン端末はユーザー自身が用意することとなる。対応端末は、技適マークが付いたSIMフリーのスマートフォンのほか、ドコモのスマートフォン。動作端末は、同社のWebページで確認することが可能。なお、SIMカードには標準SIMとマイクロSIMの2種類のサイズがあるため、自分で用意した端末がどちらのSIMカードに対応しているのかを確認しておこう。

楽天ブロードバンドLTEのSIMカードには、標準SIMとマイクロSIMの2種類のサイズがある

また、楽天ブロードバンドLTEは、データ通信専用のサービスとなっているため音声通話は利用不可となっているほか、ドコモ端末の場合、テザリングは利用することができない。

月額980円で200MBまで高速通信を利用可能

気になる料金だが、楽天ブロードバンドLTEの「エントリープラン」では、月額980円の定額制となっており、月間の通信量が200MBまではXiの下り最大112.5Mbps/上り最大37.5Mbpsという高速通信が利用可能だ。通信量が200MBを超過した場合でも、上り/下り最大100kbpsでの通信が可能となっている。1カ月1,000円以下となり、実際に携帯電話会社でスマートフォンを契約するよりも、かなり安く運用できることがおわかりいただけると思う。

TwitterなどのSNSでのやりとりや、テキスト中心のメールの送受信であれば、上り/下り最大100kbps程度の通信速度でも十分利用可能だが、もしも、もっと高速通信を利用したいのであれば、525円を追加するごとに高速通信が可能な通信量を100MBずつ追加することもできる。また、普段からデータ通信をよく使う人向けに「アクティブプラン」も用意されており、こちらは3日間で通信量192MBまでが、下り最大112.5Mbps/上り最大37.5Mbpsの高速通信で利用可能。アクティブプランの月額費用は2,980円で、こちらのプランでも実際のスマートフォンの契約と比べれば、十分安いといえるだろう。

なお、エントリープラン、アクティブプランともに初期費用として4,200円が必要となるが、2013年4月11日まで実施されているキャンペーンを利用することで、初期費用3,150円で申し込むことが可能。ちなみに、携帯各社のスマートフォンのプランでは、いわゆる「2年縛り」と呼ばれる2年間の契約期間が存在し、更新月以外で解約すると解約手数料が発生するが、楽天ブロードバンドLTEには、そのような契約期間がないのが特長だ。契約期間を気にすることなく、気軽に利用できるのも大きなメリットだ。

ドコモの端末やSIMフリーの端末を利用できる

先述の通り、楽天ブロードバンドLTEで使用する端末は自身で用意する必要があり、SIMフリーまたはドコモのスマートフォンが利用可能となっているが、おすすめなのは、ドコモの中古のスマートフォン端末だ。現在、2013年春モデルが続々と発売されており、それに伴って中古端末が入手しやすくなっている。

また、スマートフォンの場合、新機種が登場するサイクルが早くなっているため、比較的ハイスペックな端末でも、すぐに型落ちとなり、安価で購入することが可能だ。スマートフォンの中古端末は、中古パソコンショップやリサイクルショップ、オンラインの中古携帯ショップなどで多く売られている。料金は端末の状態によっても異なるため、一概にはいえないが、Xiに対応したハイスペックなスマートフォンでも、2万円台から3万円台で購入可能となっている。なお、楽天ブロードバンドLTEのSIMカード自体はLTE(Xi)に対応しているが、LTEに対応していない端末でももちろん利用可能で、たとえば、「Nexus 7」の3Gモデルや、日本での発売が予定されている「Nexus 4」などでも利用することができるかもしれない。

実際に楽天ブロードバンドLTEを使ってみる

それでは、さっそく楽天ブロードバンドLTEのSIMカードを使ってみよう。本稿では、2012年冬モデルとしてドコモから発売されたサムスン製スマートフォン「GALAXY Note II SC-02E」を例として使用してみる。OSのバージョンは、Android 4.1だ。

リサイクルショップなどで購入した中古端末の場合、基本的に端末のリセットが行われているはずだが、友人や家族などから譲り受けた端末の場合は、あらかじめ端末を起動してから端末リセットを行い、工場出荷時の状態に戻しておこう。その後、言語設定などの初期設定を完了したら、GALAXY Note IIの場合、背面のカバーを取り外して、電池パックを取り外す。そして、楽天ブロードバンドLTEのマイクロSIMカードを挿入しよう。なお、SIMカードの取り付け方は、機種によって異なるので、端末の操作マニュアルなどを参照していただきたい。

背面カバーと電池パックを取り外して、マイクロSIMカードを装着する

マイクロSIMカードを取り付け、電池パック、背面カバーを装着したら、電源キーを長押しして、GALAXY Note IIを起動する。SIMカードで通信できるようにするには、次に、端末のAPN設定を行う必要がある。

端末の設定画面を表示して、「無線とネットワーク」から「その他の設定」を選択し、次の画面で「モバイルネットワーク」を選択しよう。モバイルネットワークの設定画面が表示されるので、「APN」を選択。その次の画面では、端末のメニューキーを押し、表示されるメニューの「+新規APN」を選択しよう。

次に表示されるAPNの編集画面では、楽天ブロードバンドLTEのSIMカードが付属されていた用紙に従って、APN情報を入力していこう。なお、「タイトル」は「楽天LTE」など、自由に設定することが可能だ。その他の項目は、入力ミスがないように正しく入力しよう。必要事項の入力が完了したら、メニューキーから「保存」を選択して、APN情報を保存する。

端末の設定画面において、「無線とネットワーク」から「その他の設定」を選択

次の画面で「モバイルネットワーク」を選択する

「APN」を選択して、APNの一覧画面を表示する

端末のメニューキーから「+新規APN」を選択しよう

APN情報を入力し、メニューキーから保存を行おう

入力するAPN情報は、SIMカードが付属していた用紙に記載されている

その後、APN一覧の画面に戻り、追加したAPNを選択しよう。以上で設定は完了だ。設定が完了してしばらくすると、ステータスバーのアンテナ表示の左側に上下の矢印と、「LTE」または「H」「3G」が表示されて、データ通信が可能になる。

APN一覧画面で、先ほど追加したAPNを選択しよう

すると、ステータスバーのアンテナ表示の左側に上下の矢印などが表示される

Webブラウジングなどを快適に利用可能だ

APNは一度設定してしまえば、あとは特に気にすることなく、通常のスマートフォンと同等に使うことができる。ドコモとの契約ではないため、spモードメールなどのドコモのサービスは利用できないが、TwitterやFacebookなどのSNSや、GmailやGoogle PlayなどのGoogleのサービスは問題なく利用可能だ。

月間200MBでどのくらい使えるのか?

楽天ブロードバンドLTEのエントリープランでは、月額980円で月間の通信量200MBまでXiの高速通信を利用可能だ。また、通信量が200MBを超過した場合でも、上り/下り最大100kbpsでの通信が可能となっている。ネット動画などの視聴や大きなファイルのダウンロードを行わずに、メールやSNSのやりとり、ちょっとしたWebブラウジング程度であれば、月間200MBで十分に利用することができるだろう。

もちろん、スマートフォンではWi-Fiを使って、自宅などの固定インターネット回線に接続して通信することが可能なので、自宅にいるときやネット動画を視聴するときなどはWi-Fiを利用するようにし、外出先ではLTEを利用するという使い方が基本となる。また、Gmailなどの同期設定をONにしていると、バックグラウンドで通信が行われるため、必要なければ同期設定はOFFにしておくのがよいだろう。

Android 4.0以降の端末の場合、設定画面で月間のデータ通信量などを確認できる

なお、Android 4.0以降の端末の場合、設定画面の「データ使用量」などの項目で指定期間のデータ通信量を確認できるようになっている。これらの情報をこまめに確認しながら、使い方を工夫することで、必要なときに快適に高速通信を利用できるようになるだろう。

*  *  *

月額980円でNTTドコモの回線を使った高速通信を利用できる楽天ブロードバンドLTEについて紹介してきた。Xiの下り最大112.5Mbps/上り最大37.5Mbpsの高速通信を月間200MBまで定額制で利用でき、契約期間の定めもないなど、気軽に使えるのが魅力だ。

通話用にフィーチャーフォンを残しておきたいが、スマートフォンも使ってみたいという人や機種変更して余ったスマートフォンを活用したいという人に最適なサービスだといえる。

また、月額1,000円以下で利用できるため、スマートフォンを持ちたがる子どもに、まず楽天ブロードバンドLTEで使わせてみて、使いこなせるかなどを試してみるといった利用方法もありだろう。毎月の利用料金が高く、なかなか手を出せなかったスマートフォンが、ぐっと身近な存在になるはずだ。