サントリー食品インターナショナルは3月26日、「サントリー天然水」を地球環境に配慮した自然共生型にすると発表。国産最軽量となるボトルのデザインを公開し、ブランド名のリニューアルなどを行うことも発表した。
国内市場1位「サントリー天然水」の新戦略
同商品は、南アルプス、阿蘇、奥大山といった雄大な自然に囲まれた場所に雨や雪として降った水が、およそ20年以上をかけて大地に染み込み、幾重にも重なる地層でろ過される中で、ミネラル分を含むようになった天然水だ。
昨今の健康ブームも手伝って、販売数量は年々上昇。2012年の国内ミネラルウォーター市場内シェアは第1位となっている。その商品がこのたび、大きくリニューアルする。
一番の変化は、ペットボトルの軽量化だ。会見に臨んだサントリービジネスエキスパートの高田宗彦・新包材技術開発推進部長によると、容器の新デザイン開発に当たっては、サステナビリティ(=環境負荷の軽減と持続性)とユーザビリティ(=使いやすさと中身の品質保持)の両立を最重視したという。
「自然共生型のデザイン」を目指して容器の軽量化を行ったとのことで、550ミリリットルボトルでは従来製品より2.2グラム軽い11.3グラム、2リットルボトルでは29.8グラムと、それぞれ国産最軽量ボトルを実現した。
とりわけ2リットルボトルの軽量化は昨今目覚ましく、1991年の80グラムに比べると65パーセントもの軽量化を実現していることになる。
同商品は厳選された水源と厳しい品質管理により、安心・安全な商品作りに努めており、その一環として水源の涵養(かんよう)活動を行っている。また、パッケージ面には、16マイクロメートルと国産ペットボトル飲料としては最薄のロールラベルを使用。加えて、ラベルの再生PET樹脂の混合率を60%から80%に引き上げるなど、今回のリニューアルでさらなる環境への配慮をアピールする。
今回のペットボトルの軽量化に伴い、従来製品よりも潰しやすいデザインとなった。このことで一掃のリサイクル化を促進する狙いがあるという。さらに、植物由来原料を30%使用。従来は石油由来であったエチレングリコールをサトウキビ由来の原料に置き換えることで、石油枯渇問題にも配慮したという。
なお、原料に使用するサトウキビはブラジルでバイオエタノール燃料用に栽培されているものを購入しており、今後は非食用の植物を原料に使用できるようにしたいとしている。
このほか、軽量化しても流通時の様々な荷重に耐え得る強度設計が図られており、デザイン面でも商品イメージの清冽(せいれつ)さを損なわないよう配慮。フタの開けやすさや持ち運び時の「ベコベコ感」といった、ユーザビリティも考慮したデザインとなっている。なお、今回の国産最軽量ボトルは自販機には使用されず、店頭販売のみとなる。
商品名に「南アルプス」など、水源名が復活
そしてこの日の会見ではさらに、商品名の変更も発表された。これまで「天然水(南アルプス)」「天然水(阿蘇)」「天然水(奥大山)」となっていたものを、それぞれ「南アルプスの天然水」「阿蘇の天然水」「奥大山の天然水」と、水源名を前面に押し出すネーミングを復活させる。
これは、天然水を生み出す水源、森といった貴重な自然の恵みを次世代に受け継いでいきたいという「サントリー天然水」の強い意志の表れだという。
サントリー食品インターナショナルの沖中直人・食品事業本部ブランド戦略部長は、「今私たちが口にしている天然水は20年前に降った雨、水をふかふかの山が保湿したもの。山が一度受け止める機能がないと、天然水は生まれない」とコメントした。
商品名の変更に伴い、パッケージデザインも「自然との共生」がテーマになっている。全9種類、水源の豊かな自然と生物多様性を意識し、かわいらしい動物を模したデザインになっている。
同商品は、550ミリリットルペットボトルが希望小売価格137円、2リットルペットボトルが242円で、北海道および東北、関東、中部地方で発売する。
このほか、「サントリー 阿蘇の天然水」、「サントリー 奥大山の天然水」も同容量・同価格で、「阿蘇の天然水」は九州地方、「奥大山の天然水」は中国、四国、近畿地方で発売される。いずれの商品も、発売は5月7日からとなる。