低消費電力がウリのCPU、CloverTrailを採用したWindows 8ハイブリッドPCの日本HP「HP ENVY x2」。ピュアタブレット状態で公称約10時間45分、キーボードドック装着時のクラムシェルノートPC状態では公称約19時間もの長時間駆動が大きな魅力だ。このバッテリ駆動時間は、現在発売されているWindows 8搭載機の中でもトップクラスである。そこで今回は、さまざまな条件でバッテリ駆動時間を実際に計測してみた。
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TDPが超低電圧版Core iシリーズの1/10しかないClover Trail
HP ENVY x2に搭載されているインテルのCPU、Clover Trail(開発コードネーム)ことIntel Atom Z2760(1.8GHz)は、消費電力あたりの性能を高めることを重視して設計されたSoCであり、消費電力の指標となるTDP(Thermal Design Power)が1.7Wと非常に低い。さまざまなUltrabookに搭載されている超低電圧版Core iシリーズのTDPは17Wであり、実に10倍もの差がある。
しかも、Core iシリーズの場合、チップセットが別途必要なのに対し、PCに必要な全機能を1チップに統合したClover Trailはチップセットが不要。トータルの消費電力ではさらに差が広がる。
定番のバッテリベンチマーク「BBench」で肩慣らし
HP ENVY x2は、ピュアタブレットとしてもクラムシェルノートPCとしても使える、一台二役が特徴のマシンだが、キーボードドック部分にもバッテリが内蔵されている。クラムシェルノートPC状態にすることで、バッテリ駆動時間がさらに延びることも大きな魅力なのだ。
ピュアタブレット状態でのバッテリ駆動時間は最大約10時間45分、クラムシェルノートPC状態では実に最大約19時間もの超長時間駆動が可能とされている。一日の就業時間は8時間が基本であることから考えると、クラムシェルノートPC状態なら、充電しなくても丸々2日間はたっぷり使えるわけだ。しかし、メーカーがうたう公称駆動時間と、実使用における駆動時間には、かなりの差があることが多い。そこで、実使用条件に近い環境で、どれだけバッテリが持つか検証してみた。
まずは定番、バッテリベンチマークプログラム「BBench」(海人氏作)で肩慣らし。BBenchは、バッテリ残量が変化すると(通常は1%刻み)ログを取得し、1分ごとにWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行わせることが可能だ。今回はWebアクセスとキー入力をどちらも有効にした。
メーカー公称のバッテリ駆動時間は、無線LAN機能をオフにして計測しているのが普通だが、タブレットやクラムシェルノートPCを持ち歩いて使う場合は、無線LAN経由でインターネットにアクセスすることが多いはずだ。よって、ここでは無線LAN機能をオンにし、前述した1分ごとのWebアクセスは無線LAN経由で行っている。Windows 8の電源プランは「バランス」に設定し、液晶ディスプレイ輝度は「中」にして計測した。
結果だが、クラムシェルノートPC状態での計測結果は、16時間8分と非常に優秀であった。日本メーカー製のクラムシェルノートPCを同じ条件で計測した場合、駆動時間は公称の70%前後になる製品が多いのだが、HP ENVY x2の結果はカタログ値の約85%であり、公称駆動時間との差も少ない。無線LAN常時オンで16時間もバッテリが持てば、例えば1泊2日の出張くらいなら、ACアダプタを持っていかなくても大丈夫ではないだろうか(もちろん使い方によるが)。
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