前回のレポートでお届けした「実売2,000円以下のお薦めイヤホン」に続き、今回はモバイルオーディオプレイヤーやスマートフォンに付属したイヤホンから、よりサウンドにこだわりたいと考えているユーザーにお薦めの「実売1万円台の高品位イヤホン」をピックアップし、紹介していきたいと思う。実売1万円以上のインナーイヤー型ヘッドホンでは、その機構や機能、品質なども付属品とは一線を画するものが多くなり、コストとのバランスもほど良く、サウンドのアップグレードを目指す最初の1台としても最適だ。オーディオセットでいえば、スピーカー部分に相当するイヤホンを交換することで、皆さんが思うよりずっとダイナミックにサウンドが変化することに驚かれることでしょう。

Sony XBA-30(実売1万5,000円前後)

独自開発されたバランスド・アーマチュア・ドライバーを3基を搭載し、鮮やかな高音から迫力の重低音までを再現するイヤホン。スタイリッシュなボディは、ノイズブロック構造となっており、外部の環境ノイズをカットすると同時に音漏れも低減してくれる。音質にこだわったPCOCCコードを採用し、コード表面も細かい溝を設けたセレーションタイプなので携帯時にもからみにくく取り回しやすい。耳の大きさにあわせて選べる7種類のハイブリッドイヤーピースに加え、外界からのノイズが気になる場合に重宝する遮音性に優れたノイズアイソレーションイヤーピースも標準付属している。

audio-technica ATH-CK90PROMK2(実売1万2,500円前後)

低域再生用のドライバーを含む高音質デュアル・バランスド・アーマチュア・ドライバーにより、音源を忠実かつ高解像度で再現してくれるイヤホン。音の伝搬効率に優れるホーン形状の導管「ACOUSTIC HORN」から生み出されるサウンドは、色付けがなくフラットなものとなっており、音楽鑑賞だけでなくライブステージやレコーディングのモニタリング用途など幅広いシーンで活用できる。3サイズのシリコンイヤピースに加え、体温でイヤピースの素材が非常に柔らかくなり、耳の内側に圧迫感なく密着するコンプライ社製フォームイヤピース T500(Mサイズ)も付属する。

Sony MDR-EX600(実売1万3,000円前後)

他のイヤホンとは異なり、耳への安定性を高める独特のコード後ろがけスタイルが大きな特長。耳の形状やサイズの関係で従来のインナーイヤー型ヘッドホンでは、すぐに外れてしまうとお困りのユーザーにお薦め。ドライバーユニットを外耳道に対して垂直に配置する「密閉型バーティカル・イン・ザ・イヤー」方式を採用した大口径16mmドライバーユニットによるサウンドは、豊かな低音と伸びのある高音を実現しバランスにも優れる。耳の大きさにあわせて選べる7種類のハイブリッドイヤーピースに加え、外界からのノイズが気になる場合に重宝する遮音性に優れたノイズアイソレーションイヤーピースも標準付属している。

JVCケンウッド ビクター HA-FXZ100(実売1万2,000円前後)

トランスルーセントな特徴的デザインを持つボディーには、ふたつのドライバーを並列に配置し一体化させた中高音用の「ツインシステムユニット」に加え、カーボン振動板を採用したウーハーユニットからの音をストリームダクト内に通過させることで低域成分を抽出し重厚な低音を生み出す「ストリームウーハー」を搭載。同シリーズの上位グレード製品にも劣らぬスペックとサウンドを実現したコストパフォーマンスに優れたモデルとなっており、特にエレクトロ、クラブ系などバスドラやベースといった低域成分を重視した音楽を楽しみたいユーザーにオススメ。コードの長さを調整できるコードキーパーや、コードからのタッチノイズをおさえるクリップも付属する。

Klipsch Image X10(実売1万8,000円前後)

全米シェアNo.1の老舗スピーカーブランドであるKlipschによる、美しく高級感溢れるアルミニウム製ボディが目を惹く「Image X10」。非常にコンパクトなデザインながら、サイズを超えたワイドレンジなサウンドを実現している。バランスド・マイクロ・アーマチュアと呼ばれる専用設計された機構により、繊細な中高音域にのみならず、深く豊かな低音域もカバーする。世界最小最軽量という本体と、ソフトシリコン製の「Ear Gels」(楕円形状のイヤーピース)は、従来のインナーイヤー型ヘッドホンが苦手といったユーザーでも装着時の違和感を軽減し、快適なリスニング環境を実現してくれることだろう。

本レポートでは、実売1万円台前半のイヤホンを中心に定番的な製品を取り上げてみたが、まだまだここでは紹介しきれないほど数多くのイヤホンが市場には多彩にラインナップされている。モバイルオーディオプレイヤーやスマートフォンに付属するイヤホンに満足いかなくなった方、アウトドアでもより高音質で音楽を楽しみたいとお考えの方は、自分に最適なイヤホン探しにぜひ気軽にチャレンジしてみてはいかがだろうか。好みの音楽ジャンルにフィットするイヤホンを使用すれば、お気に入りの楽曲な新たな魅力を再発見できるはずだ。

内山秀樹
ライター/サウンドクリエイター/ITコンサルタント
10代の頃より、楽器メーカーの製品開発やインストラクションなどに参加。既存の製品にも多くのデータなどを提供中する。現在はフリーランスとして、PC誌/音楽誌への執筆活動をはじめ、作曲、編曲、WEBプロデュース、ITコンサルティング、ゲームサウンド製作、学校講師など多岐にわたる幅広い活動を展開中