ドラマのような活躍をみせる探偵は多いの? |
「名探偵コナン」「明智小五郎」「シャーロックホームズ」など、漫画やドラマの世界には探偵がたくさん登場します。けれども、実際の探偵業界はどうなっているのでしょうか。
ドラマのように事件を解決することは少ないようですが、それだって本当かどうかわからない。ものすごく費用がかかる印象もありますよね。そこで探偵の実情について、総合探偵社・興信所「MR」の調査部部長、川口さんにうかがいました。
やっぱり一番多い依頼は浮気調査
――一番多い依頼は何ですか?
「浮気調査です。当社では8割の依頼が浮気調査になります」
――やはり、そうなのですね。具体的にどのような調査をするか教えてください。
「調査の基本は『尾行』と『張り込み』になります。平均すると1日6~8時間程度の調査が多いのですが、そのほとんどが張り込みです」
――張り込みではどのようなことを意識されるのですか?
「TPOを合わせることですね。日中の住宅街であれば私服で立ち、オフィス街ではスーツになります。長時間の場合、車両から監視できるのであれば車を利用します。
車の色は白、グレー、シルバーなど、目立たない色が基本。エンジンを切って後部座席に潜んでいるなど、長い時間停まっていたりしても、不自然ではないように気をつけます。着替えや食事も車内で済ませることが多いんですよ」
――張り込みや尾行ってバレたりしないのですか?
「毎日同じ人が同じ車で張り込んでいては、周囲の方も警戒をしますよね。当社では約10人の調査チームが数班あり、現場の出入り口の数などを考慮して多いときで5人程度投入します。尾行の際は、調査員、調査車両を切り替えられることも重要。周囲から見て不審人物・不審車両とならないうちに交代するのです」
――尾行や張り込みをしていないときは何をしているのですか?
「映像の編集作業、報告文書の作成をしています。調査で判明した情報の分析として、対象者が使用しているブログや、フェイスブック、ツイッターなどのSNSのチェック、割り出した愛人の居住先・勤務先への聞き込みや情報収集、新案件の事前調査(下見)などもしますよ」
浮気現場をしっかりとおさえる
――調査には、何か特殊な機材を使うのでしょうか?
「暗闇でも撮影できる暗視カメラを使います。また、愛人との食事などでレストランや飲み屋を内偵調査するときには、隠しカメラ・マイクを。特定の場所を長期間監視するのであれば、監視カメラを設置することもあります」
――浮気の現場を押さえるとはどういうことをいうのですか?
「いわゆる『不貞の証拠』は、過去の判例を基にしています。ラブホテルはそういう行為を行う場所のため、1回現場を押さえれば認められることが多いですね。
ビジネスホテルや愛人の自宅では『たまたま仕事の打ち合わせで』という言い訳が出ないように、数回現場を押さえて常習性を証明しますし、二人きりのときに手をつないだりキスをしたりしているところを撮影して状況証拠を積み重ねていきます」
――あの……。探偵って不法なことをして情報を集めているイメージがあるですが……。
「たしかに昔の探偵業界は野放しに近い状態でした。けれども、2007年に探偵法ができてからは、状況が変わりましたね。それ以降は、人の依頼を受けて、尾行・張り込み・聞き込みなどをするには、都道府県公安委員会に探偵業者として登録することが必要になったのです。法律すれすれのことをする業者もかなり減りました」
探偵には大手から個人経営まである
――依頼する場合、費用はどのくらいかかるのですか?
「当社の場合は、必要な調査日数、人数により調査料金を算出します。10万円からの調査項目がありますが、平均すると117万円くらいです。ちなみに当社は、女性担当カウンセラーがお客さまの相談に応じておりまして、それを含めての料金になります。
浮気は証拠を取った後が大事なんです。当社の場合は、浮気発覚後もやり直しを選択されるお客様が8割にのぼるのです。もちろん、必要であれば弁護士などの法律の専門家をご紹介することもあります」
――探偵を利用するときに注意した方がいいことはありますか?
「複数の業者を比較してみるといいと思います。ネットでは大組織にみえる会社でも、実際は1人で経営していることもあります。相談の予約をすると喫茶店やファミレスに呼び出されたりすることもあるんですよ。
また、好みにもよるのですが、ただ調査して結果をつきつけるだけではなく、感情的なケアやアフターフォローをしたりしてくれるところの方が安心だと思います」
なるほど。川口さん、どうもありがとうございました。
ドラマなどでは派手に動き回っている探偵ですが、実際には確実にデータを積み上げているのですね。
取材協力:総合探偵社 MR
(OFFICE-SANGA 臼村さおり)