翻訳の専門校、フェロー・アカデミーは3月3日、誰でも参加できる翻訳イベントとして「オープンセサミ 2013春」を開催した。
「オープンセサミ 2013春」当日は、翻訳業界に携わる方を招いての特別講演や体験レッスンが行われた。翻訳家とはどのような仕事なのか、現状の翻訳業界のリアルが分かる一日となった。
今後、翻訳の需要はどうなる?
また、「オープンセサミ 2013春」と同時に開催された学校説明会にも参加してみた。
同校理事長の室田陽子氏によると、「翻訳の仕事がなくなることはないが、どんなジャンルの仕事が増えるかという需要には変化がある。その変化は、世界の動向や経済に大きく影響を受けている」とのこと。
例えば、自動車業界。リーマン・ショック以降は新車販売台数が落ち込み、予算が削減されたことで翻訳の需要は一時落ち込んだが、現在はエコカー技術に関連する翻訳が増えている。
また、「オリンピックやワールドカップ、世界陸上といった世界的なイベントに付随して、翻訳業務も発生する」と室田氏。相手チームの情報をメディアで伝えるほか、スポンサー企業の事前交渉や契約書でも翻訳が必要とされるからだ。
さらに、最近は、企業のIR情報を動画で公開する例も増えている。海外の投資家に向け、IR情報は英語でも発信する必要があるため、そこにも翻訳のニーズがある。テレビなどのマスメディアだけでなく、WEB上でも簡単に動画が公開されるようになったことで、動画に関連した翻訳需要が増しているという。
同校では、契約書やプレスリリースといったビジネスや研究の現場で発生する文書を扱う「実務翻訳」、海外での著作物を日本で出版するための「出版翻訳」、映画やドラマ、ドキュメンタリーに関する「映像翻訳」という3分野全ての講座を用意している。
それぞれ需要も翻訳の仕方も異なるが、「実務翻訳と映像翻訳の複合的なスキルが求められるような仕事もある」と室田氏はコメントした。
基礎から上級まで、レベルや目的に合わせて学ぶ
上記、翻訳業界の現状を受けて、同校の通学講座では、単科と総合翻訳科を用意。単科の授業は週1回で、平日昼間、夜間、土曜など。分野は、実務翻訳、出版翻訳、映像翻訳の3分野、レベルは入門レベルから初級、中級、上級レベルまである。
一方、総合翻訳科にはカレッジコースとフリーランスコースがあり、いずれも平日の昼間に授業が行われる。カレッジコースは週5日で1年間、フリーランスコースは週3日で3カ月、3分野すべてを学ぶ。
なお、通信講座は通学講座の単科と同様、実務翻訳、出版翻訳、映像翻訳の3分野について、初級から上級まで講座を開設している。
授業以外でも、翻訳者を手厚くサポート
さらに同校では、翻訳者ネットワーク「アメリア」を運営し、翻訳にかかわる人を支援。翻訳会社など500以上の企業が協力会社として登録し、「アメリア」の会員に仕事を依頼している。同校では、協力会社とのパイプを通じ、翻訳業界の動向を常に把握し、カリキュラムに反映させている。