2月に創業者Michael Dell氏と米Silver Lakeを中心とする投資ファンドSilver Lake Partnersによる共同買収に合意したDellに対して、投資会社Blackstone Groupと、投資家のCarl Icahn氏がSilver Lakeを上回る提案を用意して買収に乗り出したとBloombergなどが報じている。
Dell氏とSilver Lake Partnersによる買収は、経営陣が参画したバイアウトである。株式を非公開化することで、株価の動きや株主の意向に左右されることなく、大胆な経営改革を迅速に進められる体制を整えようとしている。買収提案は普通株を保有する株主に1株13.65ドルの現金を支払うという内容で、買収総額は約244億ドル。買収資金を融資するSilver Lake Partnersには米欧の金融機関のほか、Microsoftが加わった。
Bloombergによると、Blackstoneの提案は1株14.25ドルの現金、一方Icahn氏はDell株の58%に対して1株あたり15ドルの現金を支払う用意があるという。Silver Lakeの提案では非公開化後も現CEOのMichael Dell氏が引き続き指揮を執るが、BlackstoneとIcahn氏の提案におけるDell氏の処遇については不明。この案件に詳しい人物からの情報としてBloombergは、BlackstoneがOracleのMark Hurd社長に接触したと報じた。同氏はHewlett-PackardのCEO在任中 (2005-2010年)にPC販売でDellを追い抜いて世界トップを実現しており、Fortuneによると「非公式ながらBlackstoneは積極的に勧誘している」という。Bloombergはまた、Blackstoneが金融サービスDell Financialの売却でGeneral Electricと交渉しているとも報じている。
DellとSilver Lake Partnersとの合意では、他の提案を評価する45日間のゴーショップ (Go-shop period)期間が設定されており、3月22日の午後5時 (EST)に終了した。45日の間に行われた個人またはグループの提案は、Evercore Partnersの支援を受ける特別委員会が評価し、同委員会が協議の継続や取引を推奨する権限を持つ。近日中にDellがゴーショップ期間に関する声明を発表すると見られており、場合によっては買収提示の引き上げ競争が起こる可能性もある。