日本貿易振興機構(以下、JETRO)は21日、「サービス産業の海外展開実態調査」の結果を発表した。同調査は、2012年10月~11月の期間に国内のサービス産業企業5,876社を対象に実施し、1,352社から有効回答を得た。
それによると、対象企業のうち、「海外進出している」または「海外進出していたが撤退した」と答えた企業は40.4%(546社)。これら海外進出経験企業に対し、最も重視している海外進出先を聞くと、中国が最多で43.3%。以下、タイが9.6%、米国が7.4%、ベトナムが4.5%、シンガポールが3.7%と続いた。
続いて、最も重視している都市を尋ねたところ、上海がトップで22.1%。次いで、バンコクが6.7%、大連が3.4%、ジャカルタが2.7%、シンガポールが2.4%となった。
次に、進出先の順番を見ると、中国へ最初に進出した後、2カ国目に進出している106社については、8割強がアジア諸国のいずれかを2カ国目の進出先としていたことが判明。また、米国に最初に進出した後、2カ国目に進出した81社についても、6割以上がアジア諸国を2カ国目の進出先に選んでいることから、サービス産業の間でアジア諸国が重要視されている状況がうかがえる。
回答企業を「大企業(406社)」と「中小企業(873社)」に区分して分析したところ、大企業では71.7%が現在海外展開をしている一方、中小企業では23.0%にとどまった。また、「海外事業を展開(予定・計画、撤退を含む)」と回答した企業のうち、大企業では60.9%が2000年以前に海外進出を開始しているのに対し、中小企業では2000年に入ってからが51.1%を占めた。特に、2010年から2012年での中小企業の海外進出割合は16.9%と、大企業の7.5%より約10ポイント高いことがわかった。
重視している国における海外事業展開上の人材面での課題を問うと、66.5%の企業が「海外現地で事業をマネジメントするグローバル人材の確保」と回答。次いで、「業務ノウハウの現地従業員への移転・共有化」が58.8%、「海外展開を推進するために必要な人材の採用」が58.7%、「現地事業を任せられる現地人材(責任者)の確保」が56.0%、「海外展開を図るための社内人材(社員)の確保」が55.4%などとなり、人材面での課題が多く挙げられた。
また、海外進出経験のない企業758社に対し、「海外進出しない理由」を質問したところ、71.8%の企業が「海外進出するための人材を有していない」と回答。 JETROは、「サービス産業のさらなる海外展開の促進においては、『グローバルに活躍できる人材の確保や育成』がボトルネックとなっている」と分析している。