日本証券業協会はこのほど、「未公開株通報専用コールセンター」通報状況、および詐欺的業者による「最近の手口」を発表した。

「未公開株通報専用コールセンター」通報状況によると、2012年4月1日~2013年2月の期間に寄せられた通報総件数は4,058件で、前年同期の5,348件から290件減少。1日当たりの平均通報件数は約18件で、前年同期の約24件から6件減少した。

勧誘形態は、仲介業者を通じて勧誘するケースが約83%、未公開会社自身が募集を行うケース(自己募集)が約17%だった。

通報者年齢を調べたところ、最も多かったのは70歳代の49.0%。以下、60歳代の23.6%、80歳代の17.0%、50歳代の6.5%、40歳代の3.1%、30歳代以下の0.8%と続いた。このうち、66.0%が70歳以上の高齢者で、これに60歳代を加えると全体の89.6%に上った。

商品別では、「その他」に分類される通報が最多で約60%、未公開株・社債に係る通報がそれぞれ約18%となった。

カテゴリー別、年度別の通報件数の推移(出典:日本証券業協会Webサイト)

被害金額の累計は約39億8,564万円。商品別では、株式に係る被害金額が約18億4,017万円と、全体の約46%を占めた。なお、2013年2月の被害金額は約2億5,670万円、1通報当たり(被害金額を聴取している通報49件限定)の平均被害金額は約524万円、最大被害金額は約1億円だった。

勧誘手法は、電話だけで被害に遭うケースが最多で70.9%。以下、電話とダイレクトメール(以下、DM)が15.5%、DMが11.3%、電話と訪問が1.4%と続いた。

都道府県別通報件数を見ると、1位は神奈川県で12.4%、2位は東京都で9.1%、3位は大阪府で7.3%、4位は愛知県で7.1%、5位は千葉県で5.9%となった。

併せて発表された「最近の手口」では、このところ増加している新手の勧誘事例を紹介。それによると、2010年度は未公開株・社債に係る通報が中心だったが、近年「その他」に分類される通報が急増していることがわかった。

「その他」は、「未公開株などを保有している投資家に買取り、返金などを持ちかける勧誘」と「未公開株等以外の有価証券、商品、権利などの取引に係る勧誘」の2つに大きく区分される。2012年4月~2013年2月に通報があった「その他」の内訳は、未公開株式などに関する「買取り・返金」などの持ちかけが約8割、投資事業組合出資証券、リゾート会員権、合同会社の社員権、外国通貨などに係る通報が約2割だった。

同協会によると、過去に未公開株などを購入した被害者の個人情報が詐欺業者間で出回っており、被害を回復したいと思っている人を狙った勧誘が行われているという。同協会は、未公開株などを購入したことがある人は「自分の個人情報は出回っているもの」と認識し、より一層注意するよう呼びかけている。