経営再建中の御園座は18日、第三者割当増資の実施などを含む「事業再生計画」を発表した。

同社は「事業再生ADR」利用による経営再建を目指している。第三者割当増資では最大3,000万株を発行。払込金額の総額は44億8,500万円と想定し、諸費用などを差し引いた33億8,500万円を同社が受け取る。割当先は地元企業や自治体、個人などに依頼する予定で、最終決定は7月中旬頃となる見込み。申込期間は8月2日~9日、払込期日は8月12日。この第三者割当増資により、債務超過を解消して、名古屋証券取引所における上場を維持しつつ、事業再生計画を開始していく。

劇場「御園座」が入る御園座会館(愛知県・名古屋市中区)の不動産は、積水ハウスに売却。御園座は、その売却代金で金融機関からの全借入金の返済を行う。積水ハウスは、購入した土地に劇場併設型分譲マンションを建設し、竣工後、御園座が劇場部分を積水ハウスから再購入する。再購入時期は、2018年7月頃を予定している。

御園座トップページ(出典:御園座Webサイト)

不動産賃貸事業、老人ホーム事業からは撤退。また、2014年3期~2018年3期を再開発期間とし、同期間中は原則外注化により公演非開催期間の固定費を圧縮するほか、再開発後もさらなるコスト削減を図る。

今後の劇場の事業戦略については、再開発期間中も他劇場を借りるなどして興業を継続。具体的には、10月の顔見世、春の花形歌舞伎など、需要が大きく採算確保が見込まれる月に限定して、5カ月間のみ公演を行う。

再開発後は、ミュージカルやお笑いなどを上演することで個人客と若年層の取り込みを目指し、団体客の需要縮小を補う。また、演目ごとの需要量を見極め、公演期間の適正化(現状、年間公演実施期間8カ月を想定)を遂行するほか、季節ごとの需要変動やコンテンツの魅力度を考慮しつつ、各演目の実施タイミングを検討するとしている。

このほか、所在地区の民間劇場の一本化に向け、「中日劇場」を運営する中日新聞社に対し、同劇場を貸劇場に特化するよう協議を行っているという。