独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は18日、コンピュータ制御で自律的に決められた飛行経路を飛行する無人飛行機を使用した、無線中継システムを開発したと発表した。防災関連機関が常備することで、大規模災害時の迅速な通信確保や状況把握が期待されるという。

3月25日から26日にかけて仙台で開催される「耐災害ICT研究シンポジウム及びデモンストレーション 災害に強い情報通信技術発表会 -つながる!こわれない!-」で小型無人飛行機で無線中継を行うデモンストレーションを実施する予定

開発した無線中継システムは、無線中継装置を載せた小型無人飛行機と、地上に設置する簡易型の地上局装置とで構成される。地上局を孤立地域に設置し、無人飛行機で地上局周辺に外部とつながる無線LAN通信サービスを提供することで、スマートフォンやPCなどの通信機器を使い被災状況の把握や安否確認などが迅速に行える。

地上局装置は三脚などを利用した軽量かつ簡易なもので、車が通行できない場所でも持ち運べる。また、小型無人飛行機は手投げ発進が可能で、滑走路がなくてもネットワークを迅速に構築できる。

小型無人飛行機は、米国エアロバイロンメント社製の「PUMA-AE」に、無線中継装置を搭載したもの。1機で4~5km程度離れた地上の2地点を中継できるほか、飛行させた2機間を中継させると通信距離をさらに2km程度延伸できるという。

通信速度は最大500kbps程度、通信可能時間は最大1時間程度。小型無人飛行機の飛行時間は約2~4時間、飛行距離は15km、最高飛行高度は5,000m。翼長は2.8m、機体重量は5.9kg。

デモンストレーションでの無線中継システムイメージ図