園の入口ではヘビの看板がお出迎え

ヘビ年もスタートして早3カ月が経つが、昨年の暮れから、干支(えと)にちなんでか「ジャパンスネークセンター」が人気だ。こちらは、群馬県太田市にあるヘビの研究施設なのだが、広々とした園内で珍しいヘビが見学できるだけでなく、触れ合うこともできるというスポット。くりくりとした黒い瞳のヘビちゃんに、意外にハマっちゃうかも~!

実はのほほんとした雰囲気の蛇。つぶらな瞳もキュート

巳年の“巳”という字は、頭と身体ができかけた胎児の姿を表している。そのため、巳年は植物に種子ができ始める時期、才能が開花し始める年であるとも言われている。

長い不況からの雪解けを感じさせてくれるようなイメージの年ということで、今の日本人がまさに望んでいた干支なのでは? そしてヘビといえば、古来より神様として祀(まつ)られ、特に金運アップにいいと言われる生き物! これはもう本物のヘビに会うしかないと、都心から車や電車で1時間30分程度の、群馬県太田市にある「ジャパンスネークセンター」を訪れた。

ヘビ達が暮らすのは、環境抜群の熱帯蛇類温室

ちなみに、ジャパンスネークセンターの前身は、陶陶(とうとう)酒の原料となるまむしを飼うための、日本蛇族学術研究所。同じく群馬県太田市にあるパイプ塚(パイプ蒐集(しゅうしゅう)家の故・石黒敬七氏が建立したパイプの石碑)を見学した際、この地を気に入り、ここに同研究所を設立することに決めたのだとか。

「ヘビ年ということで例年よりもお客様は数倍多いですね。家族連れ、カップル、そして女性同士のグループが意外に多いんですよ」と主任研究員の堺さん。繁忙状態は昨年の夏から続いていて、昨年後半は今年の年賀状用にと写真を撮っていく人が多かったとか。

ところで、女性グループが多いとは、ちょっと意外な気もするのだが……。「女性に人気がある理由は、つぶらな目かもしれないですね。最初はニョロっとした動きを気持ち悪く感じる人も多いようですけど、あのつぶらな瞳を見ているとかわいく見えてきちゃうようです」と堺さん。

また、「それに、グリーンや黄色、白、赤など様々な色のヘビがいてきれいなんですよ。そのへんも人気の理由かもしれませんね」とも。ニョロっと音もなく近づいて、舌をチロチロさせる姿は執念深いようにも見え、“祟(たた)る”生き物とも言われてきたけれど、確かに目をじっと見ているとなんか無邪気でかわいいのだ。

黄色のきれいな模様をしたビルマニシキヘビ

現在、スネークセンターにいるヘビは約80種類。海外の珍しいヘビも多く、猛毒を持つ種類もいる。そのうち国内のヘビは10種類強だという。「個人の方が無届けで飼っていたものの、そいつが毒を持っていたため、噛(か)まれたことが騒ぎになり、警察が押収したヘビもいるんですよ」と堺さんが教えてくれた。

マニアともなるとつい珍しいヘビをペットにしたくなるそうだが、飼うのは難しいのも事実。捨てられたりすることがないよう、飼い方のレクチャーなど、ヘビにまつわる啓発活動も行っているのだとか。また、農家の方やアウトドア愛好家が毒蛇に噛まれてしまうというトラブルもあるが、スネークセンターではその対処法もレクチャーしている。

猛毒を持つビルマアオハブ

ヘビと一緒に記念撮影もできちゃう!

スネークセンターには、多くのヘビやは虫類が展示されているが、それだけでなく、何とヘビを首に巻いて撮影することもできる。ヘビは思いのほか冷たくて重いけれど、近くで目を見ると不思議と愛情が湧いてくる。撮影は通常、ニシキヘビがお相手をしてくれるが、3月までニシキヘビはお休み。その期間は、代わりにボアコンストリクターと一緒に撮影できる(1回1,000円)。

また、白いヘビ(テキサスラットスネーク又はコーンスネーク)と写真が撮れる日もある(こちらも1回1,000円)。真っ白なヘビは小さくてちょっと神秘的な感じ。撮影スケジュールは園のホームページに出ているので要チェック!

ヘビを首に巻いて記念撮影(写真はボアコンストリクター)

ところで、ニョロ~っとしてクネクネとしたヘビに骨はあるの? という疑問を持っている方もいるのでは? その答えは、資料館にあるヘビの骨格標本を見れば分かる。何とヘビは、200個以上というたくさんの背骨を持っている。だからあのくねくねとした独特の動きができるのだ。

また、同園ではハブの採毒の様子も見ることができる。そちらの日程についても、HPに随時アップされるので、興味がある方は是非調べてみて。

インドコブラの骨格。実は骨はこうなっていたんです

ハブのするどい牙を間近でみたら圧倒されるはず

冬眠から覚める4月がオススメ

ちなみに、春に向けての見所についても伺ってみたところ、「ヘビは寒いと冬眠しますが、4月からは屋外の展示場でもヘビやマムシたちが目を覚まし、自然に近い生態を見ることができますよ」とのこと。本来の姿を見たいなら、4月以降に来園するのがいいかもしれない。

ところで、ヘビといえば金運というイメージで、抜け殻を財布に入れておくといいなんて話もある。堺さんいわく、「金運のみならず、実は健康とも縁のある生き物でもあるんです。世界各地の救急車のドアにも、ヘビが巻きついた杖(つえ)が描かれていたりするんですよ」とのこと。

その杖とは“アスクレピオスの杖”のこと。もともとはギリシャ神話の中で名医が持っていたもので、世界保健機関や日本では陸上自衛隊の衛星科で使用されているのだ。

そう、つまりヘビは健康、医学のシンボルでもある。珍しいヘビたちの生態を楽しみつつ、金運&家族の健康運を、今一度祈ってはいかが? お土産コーナーには、金運アップに効果が期待できそうなヘビ革製品の他、陶陶酒、ヘビの粉末などもそろっている。美容や健康のためにも、毎日少しずつ摂取するのがおすすめだ。