みずほ情報総研は12日、「節電に対する生活者の行動・意識調査(追跡調査)」の結果を発表した。それによると、東京電力管内における節電行動は後退傾向にあることがわかった。

同社はこれまで、東京電力管内に1年以上居住していた人を対象に2回(2011年6月、同9月)の調査を実施。今回は第1回の調査回答者に加え、関西電力管内居住者に対して新たに調査を実施した。東京電力管内の調査期間は2012年9月21日~10月4日、有効回答数は512人、関西電力管内の調査期間は2012年9月24~26日、有効回答数は896名。調査方法はともにインターネット。

東京電力管内における2012年夏の節電行動を見ると、「エアコンの使用を控え、別の方法で涼む」と答えた人は2011年夏では80%だったものの、2012年夏は68%に減少。冷蔵庫に関する節電は2011年6月と比べて13~14%減、照明などそれ以外の取り組みでは2011年夏より数%程度減少した。みずほ情報総研は、取り組みが後退した要因について「電力不足に対する認識の変化や節電の負担感が考えられる」と分析している。

震災直後から2012年夏まで実施率の推移(出典:みずほ情報総研Webサイト)

電力不足を非常に深刻だと回答した人は、2012年夏では24%となり、2011年6月の55%から半減。電力不足を深刻だと感じていない人の節電行動の平均実施数は6.9回で、深刻だと感じている人の8.1回より少なかった。また、節電を負担だと感じている人ほど節電行動の平均実施数が減少する傾向が見られた。

家族や親戚と節電に関して話をする頻度が高いグループでは、頻度が低いグループと比べて節電行動の平均実施数が多いと同時に、取り組みが低下しにくいことが判明。また、40~50年後において原発を必要でないと考えているグループでは、原発を必要と考えているグループより節電行動の平均実施数が多く、かつ取り組みも持続していた。

一方、関西電力管内では、全ての節電行動において、2012年夏の実施率が2011年夏の実施率を上回った。これは、昨年夏、同管内では東京電力よりも深刻な電力不足が懸念され、節電の呼びかけが積極的に行われたためと考えられる。ただし、関西電力管内と東京電力管内の実施率を比べた場合、2012年夏の時点においても、ほとんどの取り組みで東京電力管内の実施率の方が高くなっていた。

みずほ情報総研 環境エネルギー第1部コンサルタントの藤原和也氏は、「取組の継続を妨げる要因である負担感を和らげる働きかけを行うことで、現在の実施率を維持させていくことができる可能性は十分にある」と分析している。