春には、岩木山を望むりんご畑に白い花が開花する

青森県の「日本一」と言えば、真っ先に思い浮かぶのがりんご。りんごの生産量は全国一だが、もうひとつ青森には意外な日本一がある。便秘の人が全国一少ないのも青森県なのだ。となれば、この青森のふたつの日本一の間にはなんらかの関係が?

青森美人が語った「皮付きりんごを食べるんです」

青森県には「青森県りんご対策協議会」「弘前市りんご公園」などなど、りんご関連のいろいろな団体や施設がある。りんご生産量日本一ならではだ。まずは、そうした団体や施設のりんごゆかりの人たちに「りんごを食べると便通が良くなるんでしょうか?」と、素朴な質問をぶつけてみた。

「りんごは食物繊維がたっぷり含まれていますから、それが便秘に効果があるというのは間違いないと思います。知り合いの女性たちからも、それを実感しているような話をよく聞きますね」。

こう答えてくれたのは「青森県りんご対策協議会」の高澤さん。こちらの公式サイトをのぞいてみると、「Dr's Beauty 医学の目でみた『りんご』のきれい。美肌の大敵『便秘』をりんごで解消しましょう」といった専門家の声も紹介されている。

「私個人の考えですが、継続的に摂取すればある程度の効果が見込めるかもしれませんね。青森県民は人づてにりんごを多くもらうので、他県民よりも摂取量が多い。それが便秘の少ない要因のひとつかと思います」と語るのは、弘前市りんご公園の水口匡優さん。

女性に多い便秘。匿名を条件に青森県農林水産部の女性職員も笑いながら教えてくれた。「え~っ、私ですか? そうですね、便秘気味の時はりんごをたくさん食べますよ。それも皮ごと食べるんです」。

青森県が便秘の少ない県ナンバーワンの理由としては、乳酸菌がたっぷりの漬物をたくさん食べるから、などの説もあるが、りんごパワーによるところも大であるようだ。ちなみに、りんごが便秘に効果的とされるのは、りんごには、食物繊維の一種であるペクチンが多く含まれているから。ペクチンを効率よく摂取したいなら、りんごを使ってお菓子や料理を作るより、りんごそのものの摂取量を増やすのがよい。

とはいえ、生のりんごを毎日食べると飽きちゃいそう……という方におすすめなのが焼きりんご。半分にカットして芯をくりぬいたりんごの、くりぬいて穴があいた部分にバター、グラニュー糖、シナモンパウダー、リキュール酒(あれば)を注ぎ、アルミホイルで包んで180度のオーブンで30分程度焼くだけの簡単レシピなので、興味がある方はぜひお試しあれ。

りんごはラーメンにもご飯にもなる!

りんごラーメンは麺にりんごが練り込まれている

では、青森の人たちは、どれほどのりんごを食べるのだろうか。都道府県庁所在市および政令指定都市を対象にしたりんごの年間購入数量集計によれば(総務省調べ/平成20~22年)、第1位は長野市の35,063gで、青森市は33,896gの第2位。全国平均は13,341gだから、青森市の人は平均的な日本人の2.5倍以上りんごを食べていることになる。

でも青森市は第2位、長野市に負けているではないか、と思う方があるかもしれないけれど、青森県のりんごの本場は青森市ではなく弘前市を中心とする津軽地方。津軽地方を含めた県単位で比べれば、青森県がナンバーワンになるのでは……。

青森県中南地域県民局・小林悟史さんに伺ったところ、青森県ナンバーワン説をこう唱(とな)えてくれた。「津軽では、りんごは買うものでなくもらうもの。知り合いのりんご農家から出荷できないりんごがたくさん貰えるんです。購入量でなく消費量なら、青森県が一番と思いますよ」。

さて、そんな「りんご王国青森」の人たちはどんなふうにりんごを食べているのかと言うと……ものすごい数のりんごの食べ方があり、中には目と耳を疑うようなびっくりのりんご料理もある。

まずは「りんごラーメン」(600円)。前記した「弘前市りんご公園」のレストランメニューで、りんごが麺に練り込まれている。あっさりとした塩ベースにごま風味のスープで、フルーティな味わいのりんご麺が相性抜群という。

津軽郷土料理店 大和屋の「りんごごはん」を使った「りんごごはん弁当」(900円)

「りんごごはん」だってある。「津軽郷土料理店 大和屋」のオリジナルで、米と一緒にりんごを色鮮やかに炊き込んだご飯だ。2002年度「優良ふるさと食品中央コンクール」で、「食品産業センター会長賞」を受賞している。細かく切った野菜、山菜などをみそ味で煮付けた郷土料理「けの汁」にりんごを加えた「りんご けの汁」(400円)も大和屋の人気メニューだ。

伝統の味にりんごが溶け込んだ「りんご けの汁」

地元人気急上昇は、ほっくりあったか「ホットりんごジュース」

このほか、りんごシードル、りんごそば、りんごカレーなどなど、青森のりんごメニューは数え上げればきりがないが、最近とみに地元人気が高いのが「ホットりんごジュース」だ。これは青森県が津軽のりんご農家と共同で開発・事業化したもの。最近では弘前市や黒石市の喫茶店、食堂のメニューに加わって、多くの人に親しまれている。

ホットりんごジュースはまもなく全国区人気に?

青森のゆるキャラ「たか丸くん」とミスりんごもホットりんごジュースをPR

おいしいホットりんごジュースを作るには、「ふじ」「ジョナゴールド」「つがる」などの甘みの強い品種のりんごのブレンドが良いとのこと。家庭でも100%アップルジュースを電子レンジで温めれば作れ、ポイントは温度を70~80℃に設定して、沸騰を避けることだそうである。

また、前記した「青森県りんご対策協議会」の公式サイトには、りんご王国青森ならではのたくさんのりんご料理のレシピが載っている。便秘気味なら、ぜひご参照の上、「りんごでお通じ改善」プロジェクトに取り組んでみてはいかがだろう。

青森県りんご対策協議会の「ダイナミックにほばるぞ! 肉巻きりんご」

●information
青森県