五十嵐香織氏(右)と久保田律子氏(左)

忙しくて外食やコンビニ弁当ばかり、といった現代人は多いと思われます。その点、"食と健康の専門家"である管理栄養士の女性たちはどうなのか、また、外食にはどんなお店を選ぶんでしょうか? 2人の若い管理栄養士さんに聞いてみました。

「外食は楽しみの時間。好きな料理を選びます」

神奈川県厚木保健福祉事務所で管理栄養士として働く五十嵐さんと久保田さん。栄養学の知識をもとに「食を通じて人々の健康な生活を支えていくのが使命」という2人は、事業所や学校、病院、特別養護老人ホームなどの給食施設を回り、栄養管理や指導に当たっています。

――まず率直に伺いますが、お二人は外食なんてするんでしょうか?

「よく『栄養士さんてあまり外食しないんでしょ』、『ファストフードなんか食べないですよね』とか言われますが、そんなことはありません。お店に行くと、どんな人が利用しているのか、どんなメニューがあるのかなどが分かって面白いし、勉強になります」(久保田)

「私ももちろん外食します。チキンやドーナツなどのファストフードだって食べますよ」(五十嵐)

――外食ではどんなお店に行くんでしょう?

「自分では作れないもの、手の込んでいそうなもの、そのお店でしか食べられないようなものを選ぶことが多いです。和食はもちろん、イタリア、フランス、インド、ネパール、タイ、インドネシアなど。いろんな国の料理が好きです」(五十嵐)

「私はカレーが好きで、最近はおいしいナンを求めてカレー屋さんめぐりをしています。外食は自分の楽しみの時間でもあるので、自分の好きな料理を選びますね」(久保田)

――栄養学的な注意は払わないんですか?

「最近ちょっと食べ過ぎかしら、と感じたときなどは栄養表示を参考に選ぶことはありますけど……」(久保田)

「私は揚げ物とかが好きなんですが、何皿か注文する場合は、油の多い料理ばかり並ばないようにとか、調理方法や味付けが違うものを選ぶようにしています」(五十嵐)

ただし、申し添えておけば、五十嵐さんと久保田さんは共に実家暮らし。昼はお弁当を持参し夕食も自宅で食べることが多く、外食はほとんど土日だけなのだそうです。

外食産業で健康メニューを考えるのも管理栄養士の仕事

――でも、一人暮らしなどで、外食やコンビニ弁当などに頼りがちな人はどうすればいいんでしょう?

「外食だと一般的に不足しがちになるのが野菜ですね。ですからサイドメニューとして野菜サラダや野菜の煮物をプラスする、それで随分違ってきます。1日の3食を総合してバランスを取るのでもよいですし、それも無理なら1週間のトータルで栄養バランスを考えるのをお勧めします」(久保田)

「最近はファストフードでも野菜系のサイドメニューが充実してきていますし、コンビニのお弁当もヘルシーさをアピールしたものが増えてきたので、上手に利用してほしいですね。外食やコンビニチェーンなどでも、私たちと同じ管理栄養士の資格を持つ人が"健康"をテーマにしたメニュー開発に取り組んでいるんです」(五十嵐)

――食品会社や外食産業などでも管理栄養士が活躍しているんですね?

「私たち二人は、管理栄養士養成コースのある大学で勉強して、国家試験を受けて管理栄養士になりました。卒業生の中には、私たちのように保健所や保険センターなど公的機関に職を得た者もいれば、食品会社や外食産業に就職した者もいます。資格があると、確かに仕事のチャンスは大きくなると思います」(五十嵐)

「病院や特別養護老人ホームなどでは、診療報酬の請求や介護保険請求の条件として管理栄養士がいることが法律で義務づけられています。必要とされる分、やりがいもあるのではないでしょうか」(久保田)

■プロフィール
五十嵐香織(いがらしかおり)
神奈川県 厚木保健福祉事務所 保健福祉課/管理栄養士
久保田律子(くぼたりつこ)
神奈川県 厚木保健福祉事務所 保健福祉課/管理栄養士