職場飲み会の「常識」とは? |
職場の飲み会では「無礼講」といわれても、いろいろと気を遣わなくてはならないことがあります。マナーを知らずに、怒られてしまった……という人も多いのでは? とはいえ、世代によって常識・非常識の境界が異なることもあります。そこで、職場飲み会でのありえない態度について、部下世代、上司世代の両方に話を聞いてみました。
●部下世代
Iさん(26歳・男性)/メーカー勤務、営業職。入社3年目。
Tさん(25歳・女性)/商社勤務、事務職。入社3年目。
●上司世代
Mさん(42歳・男性)/メーカー勤務、営業職。入社20年目。
Kさん(38歳・女性)/アパレル関連企業勤務、事務職。入社9年目。
飲み会の途中で私用電話に出るのはNG?
――事前に職場飲み会のマナーについて調査しました。飲み会の席で彼氏からかかってきた電話に出て、数分間通話をしたところ、上司に「ありえない」と強く注意された方がいます。プライベート電話には、出ても良いものでしょうか? みなさんのご意見をうかがってみましょう。
上司世代・Mさん:注意した上司が正解だと思います。そもそも、職場飲み会というのは、仕事の延長です。その最中に私用電話に出るというのは、やはり非常識でしょう。
――いくら勤務時間外とはいえ、職場飲み会はオフィシャルな場でもありますよね。これに対し、部下世代はどのように思いますか?
部下世代・Tさん:私は彼氏から電話がかかってきたら、職場飲み会の最中でも出ると思います。職場飲み会といっても仕事は終わっているわけですから、プライベートの電話に出る権利はあるはず。ただ、その場で出ると怒られるのは当然ですから、席を外しますね。
いくら勤務時間外とはいえ、いきなり中座するのは失礼にあたりますよね。電話に出るなら上司に一言断りをいれてから。そして、相手にも折り返し連絡すると伝えたほうがいいでしょう。
若い人が多くフランクな職場なら、私用電話に出てもOKな場合もありますが、Iさんのように席を外すなど、何らかの配慮はした方が良さそうです。
「お酌」は新人の義務!?
――新人時代に先輩から「上司や先輩には、一通りお酌をしに行ってね」と言われ、古い考え方の職場だとびっくりしたというエピソードが寄せられました。上司や先輩へのお酌は当然のマナーなのでしょうか? それとも悪しき慣習なのでしょうか?
部下世代・Iさん:僕の勤めている会社も、体育会系な雰囲気があり、上下関係には厳しい方ですね。お酌も当然、後輩や部下の義務のようになっていますが、心の中では「おかしい」と思いながら渋々やっています。お酒を飲んでいるときまで、上司や先輩に気を遣うのは嫌ですし、おかしいですよね。しかも、お酌に行くと必ずお説教か武勇伝の披露が長くなって……最悪です。
部下世代・Tさん:お酌をしてもらって当然、という顔をして待っている上司は、本当に腹立たしいです。瓶ビールなどは、自然とお酌をする流れになりますが、そのときでも誰が誰にお酌するのか、というのは決まりなんてなくて良いと思います。
――部下世代からはお酌の強要はやめてほしいという意見が出ました。これに対し、上司世代の皆さんはいかがですか?
上司世代・Kさん:嫌々お酌をされても、嬉しくないですね。快くしてくれるのが理想です。最近の若い人たちは、『お酒を酌み交わす』といった感覚がわからないのかも。先輩や上司とお酒を酌み交わし、関係を深めるという意味合いがあるのでは? そう考えると、お酌をするというのも、それほど敬遠するような行為ではないと思いますが……。
最近では、お酌の強要はパワハラにあたるという意見もありますが、上司世代はお酌をしてもらうとうれしいもの。お酒の席での交流が、良い効果を生み出すこともあるでしょう。
それでも、お酌をされる立場の人は、「してもらって当然」という態度は改めた方が良いかもしれません。自然な流れでお酒を酌み交わす関係が築けるといいですね。
まったく口をつけないのはNG? それとも個人の自由?
――最後に、上司世代の意見も紹介しましょう。「最近の若い社員を飲みにつれて行っても、ほとんどお酒を飲みません。飲まないのは仕方がないですが、せめて上司がビールを注いであげたら、口をつけてからテーブルに置いてほしいと思います」。この認識にもジェネレーションギャップはあるのでしょうか?
上司世代・Mさん:誰かからビールを注いでもらったら、すぐに口をつけるのは常識です。せっかく注いであげたビールを、そのままテーブルに置かれると「マナーをわかっていないな」と思ってしまいます。
――上司世代では常識のようですが、部下世代にとってはいかがでしょうか?
部下世代・Iさん:上司から注いでもらったビールには、絶対に口をつけるように先輩から教えられました。その方が上司も気分が良いだろうと思うので、きちんと守っています。
注いでもらったお酒に口をつけるのがマナーだという考えは、世代を問わないようです。体質的にアルコールを受け付けなかったり、車を運転するなど、どうしても飲めないのなら、注いでもらう前に断ってしまう方が良いかもしれません。また、断るにしても、グラスに口をつけるフリをすると、その場をしらけさせずに済むそうです。
職場飲み会でのマナーは、世代によって異なる部分が多いことがわかりました。どちらが「正しい」とはっきり言い切れないのが難しいところですが、お互いが相手のことを思いやることで、自然と「常識」がわかるのではないでしょうか。
自分ではOKだと思っている行為でも、周囲に受け入れてもらえるとは限りません。飲み会での振る舞いによって、自分の評価を大きく下げてしまう場合もあるようですので、部下世代も上司世代も、十分にご注意を。
(OFFICE-SANGA 森川ほしの)