表定速度は約30km/h 世界一遅い特急列車 |
特急という名が付いているにもかかわらず、全線の表定速度は約30km/hという、ちょっとかわった特急列車があることをご存じでしょうか。その列車の名は氷河特急(グレッシャー・エクスプレス)、スイスのアルプスを走っています。今回はそんな、世界一遅い特急列車の魅力に迫り、列車内での旅行の楽しみ方をご紹介します。
■特急なのにどうして遅い?
氷河特急はアルプスの山岳地帯を走るため、たくさんの急曲線や急勾配、橋やトンネルを抜ける必要があります。そのため、走行距離約270kmをおよそ8時間かけて走るのですが、速度が遅いからこそ外の景色もゆっくりと眺めることができるので、遅くても文句を言う人はなく、むしろ皆その時間を楽しむために列車を利用しに来ているのです。
観光客のためにパノラマ車両や食事も用意されているので、列車好きならぜひ一生に一度は体験してみることをオススメします。
■日本人観光客にうれしいサービスも
車内では日本語の音声観光案内を聞くことができるので、日本人にも利用しやすい列車と言えます。
走行中の標高差は最大1,400mもあり、たとえるなら、低速で長いジェットコースターにのっているような感じもしれません。寝台車ではないので座席に座って旅を楽しむことになりますが、窓から見える景色は常に楽しく、豪華なランチやワゴンサービスもあるので、列車の旅をおもいっきり満喫することができます。
しかもワゴンサービスはクレジットカードでの支払いが可能で、おみやげなども購入できます。オススメはこの列車の名物『傾いたグラス』。坂道の移動でも飲み物がこぼれないようにわざと傾いた仕様になっていて、グレッシャー・エクスプレスのロゴも入っています。列車利用の思い出の品をぜひ日本へ買って帰りましょう。
■氷河特急だけど、氷河は観ることができない?
ローヌ氷河が窓から観られたことが列車の名前の由来でもあるのですが、現在ではその部分がトンネルでの移動となっています。そのため今は氷河を観る事ができませんが、そのかわりその旧路線を「フルカ山岳蒸気鉄道」が夏の間だけ走っており、氷河特急よりも絶景を楽しむことができます。興味がある方は、こちらも一緒に体験しておきましょう。
氷河特急での旅は、日本では絶対に体験できない貴重な時間となること間違いなしです。ぜひスイスへ旅行する機会があれば、世界一遅い特急列車でのんびりとしたひとときを過ごしてみてください。