映画『スパイダーマン』3部作の監督として知られるサム・ライミ監督と『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)のスタッフがタッグを組んだ映画『オズ はじまりの戦い』が今週いよいよ公開される。同作は作家ライマン・フランク・ボームによる不朽の名作「オズの魔法使い」の前日談を映画化したもので、主演を務めるのは映画『スパイダーマン』3部作や映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(2011年)で知られるジェームズ・フランコ。今回は彼にオズを演じる上で苦労した点や、映画『スパイダーマン』シリーズでも一緒に仕事をしたサム・ライミ監督についての印象などを聞いた。
――今回の役を演じる上で最も大変だったことや、最も楽しかったことを教えて下さい。
ジェームズ・フランコ「基本的には楽しい事の方が多かったよ。サム・ライミ監督とは旧知の仲だし、彼との仕事はいつだって最高に楽しいからね。サムはいい人なだけでなく、役者のアイデアを積極的に取り入れてくれるから、演じる側としてもやり甲斐があるんだ。苦労した点を挙げるとすれば、撮影にかなりの時間を要したということかな。何せ作品のスケールが半端じゃないからね。でもすばらしい監督と共演者らのお陰で、何とか乗り切ることができたよ」
――サム・ライミ監督の魅力を教えて下さい。またご自身も監督を経験されているということで、見習う点などもあればお願いします。
ジェームズ・フランコ「やっぱり、"これぞサム・ライミ!"と思うのは、アドベンチャーや"そこにコメディーはないだろ! "と思うところにうまくコメディー要素を注入する能力だね。また、なんといっても、撮影現場での彼の振る舞いを尊敬しているよ。すごく楽しい雰囲気を作り出してくれるんだ。監督というのは撮影現場を率いる立場だし、みんなをくっつける接着剤のような存在でもあるわけだから、みんなが楽しければ、みんなの一番良いアイディアやパフォーマンスが発揮されると思うんだ。そういった点で、彼はどの監督よりもみんなのいいところを引き出していたと思うよ」
――この映画に携わる以前、今回ご自身が演じた"偉大なる魔術師オズ"に対してどんな印象をお持ちでしたか?
ジェームズ・フランコ「ライマン・フランク・ボームの原作本シリーズは子供の頃から大好きで、読み尽していたんだ。オズのキャラクターに関しては、バックグラウンドも含め、数冊内で取り上げられているものの、この映画に登場するオスカーとはまったく別物と言えるだろうね。映画では、幻想的なオズの国を舞台にした冒険を通して、身勝手な男が偉大な人物へと成長して行く過程に、焦点を当てているんだ」
――誰もが知るキャラクターでありながら、その素性に関しては謎に包まれているオズを、どのような解釈とアプローチで演じられたのでしょうか?
ジェームズ・フランコ「脚本ではかなりマヌケで笑えるキャラクターとして描かれていたから、そういった方向性で演じることにしたんだ。コメディー色を強く出すことで、他の映画化作品と一線を画すことが出来るとも思ったしね。僕なりの解釈で、ユーモアたっぷりに演じたつもりだよ」
――役作りの上で、マジックも練習したとのことでしたが。
ジェームズ・フランコ「ランス・バートンというマジシャンに人を消したり、人を浮かばせたりなど色々なトリックはを教えてもらったよ。劇中では使ってないけど、鳩を登場させたりするものも実は学んだんだ。でも、僕が一番得意とするマジックは…(やや間があり)…やっぱり恋に落とすマジックかなぁ」
――今回もそうですが、"心にダークなものを抱えながらも、悪い人になりきれない"という役柄をこれまでも多く演じてきましたね。
ジェームズ・フランコ「良い人は演じててつまらないんだよ。映画やアート全体にいえることだけど、欠陥のあるキャラクターの方が演じていて面白いんだ。もちろん人生においては良い人間であろうと努力するべきだろうけどね。アートにおいては自分の良いところを人に見せようとするよりもむしろ欠陥だったり、足りないところをみせた方がより面白いんだよ」
――『アリス・イン・ワンダーランド』と同じスタッフということで、その映像美も話題になっています。そういった点で、この作品はより映像がダイナミックに感じられたり、音響が優れているIMAXバージョンでの上映も決定しています。
ジェームズ・フランコ「IMAXは、ものすごく大好きだよ。この作品も、(IMAX版での上映もあった)クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト ライジング』(2012年)のように仕上がっていると思ってもらえたら嬉しいなぁ」
映画『オズ はじまりの戦い』は、2013年3月8日より、全世界同時公開。