国土交通省は5日、現在開発中の新しいホームドアの実用化に向けた現地試験を実施すると発表した。東京急行電鉄、西武鉄道、相模鉄道の3社が協力し、試験場所を提供する。
国交省では、駅ホームでの旅客の接触・転落事故が増加していること、視覚障害者の2人に1人がホームからの転落経験を持つことなどを踏まえ、ホームドアのさらなる設置促進を図るため、車両扉位置の違いやコスト低減などの課題に対応した新たなホームドアの技術開発を進めている。このほど現地試験の実施が決まったのは、「戸袋移動型」「昇降ロープ式」「昇降バー式」の3種類。
「戸袋移動型ホーム柵」は、東京大学と神戸製鋼所が共同で開発を進めてきたもので、車両の停止位置がずれた場合でも、戸袋の移動により開閉扉への対応が可能に。現地試験は西武新宿線新所沢駅にて行われ、同駅1番ホームにホームドアを1車両分設置する。試験開始予定時期は今年6月頃。約8カ月間にわたり試験が行われる。
日本信号が開発した「昇降スクリーン式ホームドア」(昇降ロープ式のホームドア)は、約10m間隔で設置された柱の間に張られたワイヤーロープが、列車の到着・出発に合わせて昇降するしくみに。試験運用は東急田園都市線つきみ野駅下りホームで行われ、全長約200mのホームドアを設置する。試験開始は今年7月頃からの予定。
「昇降バー式」のホームドアは高見沢サイバネティックスが開発したもので、従来のホームドアの開口部分を昇降式のバーにすることで、ホームドアの軽量化と設置コストの低減を図った。今年10月頃から1年間にわたり、相模鉄道いずみ野線弥生台駅の下りホームに1両分のホームドアを設け、実証試験が開始される。
国土交通省によれば、今回のホームドアの設置は試験の実施に協力するために試験場所を提供するものであり、実際にホームドアの導入が決定したわけではないとのこと。