富士通と富士通研究所は4日、サーバやパソコンなどICT機器のプラスチック筐体に塗布できるな水性塗料を開発したと発表した。2013年発売の同社UNIXサーバ「SPARC M10」の「SPARC M10-4」、「SPARC M10-4S」2モデルの本体フロントパネルに適用される。
一般的に塗料は、塗膜成分として色や光沢を出す顔料と、膜になる樹脂に加え、塗料を希釈し塗りやすくする溶剤と助剤で構成される。このうち、溶剤と助剤は塗膜にならず揮発する成分だが、溶剤には光化学スモッグを引き起こす原因物質の一つである揮発性有機化合物(VOC)が多く含まれている。このため、VOC削減の一環として、水に塗料を混ぜて使う水性塗料への切り替えが図られていた。
ただし、水性塗料は、塗料を本体に融着させるために水分を蒸発させる必要があり、乾燥温度を100度以上にする必要があった。だが、ICT機器で使われているプラスチック筐体は、高い乾燥温度に耐えることができず、変形してしまう問題があった。
今回開発された水性塗料は、揮発状態を調整することで、プラスチック筐体の形状変形が発生しない、65度の低温乾燥を可能とした。また、塗料に2種類の樹脂を使用することで、ICT機器の筐体に求められる塗膜性能を実現したという。
この水性塗料を使用することで、従来の溶剤系塗装と比較してVOC排出量を80%削減可能だ。また、溶剤を用いないことで、石油使用量を54%低減し、省資源化に寄与する。