生活習慣病にも効果があるといわれる、アンデス原産の野菜「ヤーコン」

見た目はサツマイモに似ていますが、梨やれんこんのようなシャキシャキした食感と、ほのかな甘みがある不思議な野菜、ヤーコン。最近、生活習慣病の予防によいと脚光を浴びつつあります。

南米アンデス地方では、古代インカ帝国の時代から食されてきたようですが、いったいどんな野菜なのでしょうか。東京・八王子市でヤーコンを栽培している直売所の方に、日頃の疑問を詳しく聞いてみました。

いろいろな調理法で食べられる万能食材

今回、うかがった直売所では、ヤーコンのほか、いろいろな旬の野菜を無農薬で作っており、夏にはおいしいスイカも並ぶとのこと。東京・八王子市の南大沢駅から「柳沢の池公園北」方面へ行ったところにある陸上競技場の道沿いに、この直売所はありました。

お家の前が売り場になっているので、ときどき中から出てきてくれ、野菜の話を聞けるのも魅力です。

――スーパーでは、あまり見かけたことがないのですが、ヤーコンは昔から日本にあったのでしょうか?

「日本には、1985年頃にニュージーランドから輸入されたのがきっかけのようですよ」

――見た目は本当にサツマイモに似ていますね。どのように食べればよいのでしょうか?

「キンピラのように油で炒めて、砂糖と酒としょうゆで味付けしても良いし、煮物や天ぷらにしてもおいしいですよ」

――炒める、揚げる、煮る、万能野菜なのですね。大根のように生でサラダ風にしてドレッシングをかけて食べてもよいのですか?

「アクがあるので、皮をむいて酢水に浸したりすれば、生でも食べられ、シャキシャキ、サクサクした歯ごたえを楽しめます」

古代インカ帝国の時代から伝わる魅力いっぱいの野菜

――ところで、ヤーコンが生活習慣病の予防によいと注目されているのは本当ですか?

「ヤーコンが注目されている理由は、その栄養成分にあるんです。オリゴ糖、食物繊維、ポリフェノールの3つが非常に豊富に含まれているのです」

――オリゴ糖といえば、腸内環境を整えるといわれているビフィズス菌を増やすことで知られていますが、便秘などにも良さそうですね。

「ヤーコンに含まれている食物繊維やオリゴ糖は、おっしゃる通り、便秘の改善にもよいと言われています。特にフラクトオリゴ糖の含有量は野菜中でもトップクラス。"オリゴ糖の王様"と言われています」

――いわゆる生活習慣病の予防にもつながる魅力いっぱいの野菜のようですが、見た目はサツマイモなのに、でんぷんを含んでいないというから驚きです。

「カロリーはサツマイモに比べて半分以下なので、とてもヘルシーです。肥満の防止にも役立つかもしれません」

ちなみに、ヤーコンには、オリゴ糖、食物繊維のほか、抗酸化作用で知られるポリフェノールも豊富で、含有量は赤ワインと同程度と言われているそうです。糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化をはじめとする生活習慣病の予防に注目されている理由がわかりました!

ヤーコンの旬の時期

――ヤーコン自体をあまり見かけたことがないのですが、収穫時期はいつ頃なのでしょうか?

「東京だと、4月~5月に苗を植え、里芋の収穫と同じ頃の11月~12月くらいに収穫します。今季の収穫は、うちではもう終わってしまったので、これが最後です。そのままだと乾いてしまうので、冷暗所で新聞紙などにくるんで保存するとよいでしょう」

早速家に帰って、ヤーコンを生で食べてみました! シャキシャキしていて、まさに甘さ控えめの梨のような食感がクセになりそう。煮物にするとれんこんのようにサクサクしています。ほかにも、漬物やミキサーでジュースにするのもよさそうです。特にヨーグルトと混ぜると、ビフィズス菌とオリゴ糖の相乗効果か、便秘の改善に役立った気がしました。

今年の晩秋以降、またヤーコンの収穫時期がやってきます。どこかでヤーコンを見かけるのが楽しみですね!

取材協力:「柳沢の池公園北」信号横の野菜直売所
東京都八王子市上柚木2丁目

(OFFICE-SANGA FUNA/K.K)