フォルダー(Folder)

我々には直感的に理解できない単語が用いられることが多いコンピューターの世界。新たに登場するWindows 8を踏まえつつ、Windows OSで用いられる単語(=キーワード)を個別にピックアップし、詳細な解説をお送りしよう。今回取り上げるキーワードは、ファイル操作で常に目にする「フォルダー」を紹介する。





Windows 8キーワード一覧

「インストール」とは
「マルウェア」とは
「キャッシュ」とは
「ウィンドウ」とは
「ダイアログボックス」とは
「SkyDrive」とは
「サインイン」「サインアウト」とは
「プロパティ」とは
「アクセス制御リスト」とは
「アカウント」とは
「ユーザーアカウント制御」とは
「アイコン」とは
「デバイス」とは
「パス」とは
「ボリューム」とは
「共有フォルダー」とは
「ホームグループ」とは
「カーネル」とは
「プライベートネットワーク」とは
「レジストリ」とは
「ピン留め」「ジャンプリスト」とは
「デスクトップ」とは
「タスクバー」とは
「エクスプローラー」とは
「Windowsストアアプリ」「デスクトップアプリ」とは
「チャーム(Charm)」とは
「スタート画面(Start Screen)」とは
「タイル/ライブタイル(Tile/Live Tile)」とは
「アプリバー(App Bar)/ナビゲーションバー(Navigation Bar)」とは

「フォルダー(Folder)」

複数のファイルを格納するために用意された構造。正しくは「ディレクトリ(Directory)」だが、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を視覚的にわかりやすくするため、Windows 95以降はフォルダーと呼ばれるようになった。そのためWindows 8でも、コマンドプロンプトから実行する各コマンドは、フォルダーではなく「ディレクトリ」という呼称を使用し、「フォルダー=ディレクトリ」と述べても過言ではない(図01)。

図01 Windows 8のコマンドプロンプトでは、「ディレクトリ」という呼称を用いている

ただし、「ディレクトリ」は物理的に存在するファイルを格納する存在だが、フォルダーは「ディレクトリ」を視覚的に演出する存在ながらも、OS(オペレーティングシステム)上では同一に扱われていない。例えば共有フォルダーは、ネットワーク上のディレクトリだが、Windows 8の「コンピューター」のように、コンピューターが認識したドライブやネットワークプレース、ポータブルデバイスなどを列挙するものの、その実体は「ディレクトリ」ではない。また、コントロールパネルもフォルダーという体裁を用いているが、同じく実体は存在しない。そのため厳密に述べれば「フォルダー=ディレクトリ」は間違いとなる(図02)。

図02 Windows 8の「コンピューター」。ドライブやネットワークプレースなどがフォルダーの体裁で並んでいるが、それはディレクトリではない

フォルダー(ディレクトリ)構造はUNIXが実装することで各OSに普及した。一般的な階層型ファイルシステムは木構造(きこうぞう)を取り入れ、ファイルを階層的に管理することが可能になった。Windows OSも古くから続く同概念を採用し、ルート(先頭)フォルダー下に「Program Files」や「Windows」といったサブ(下位)フォルダーを作成。さらに「System32」や「Temp」といったサブフォルダーを作成することで、用途や役割によって使い分けている(図03)。

図03 階層型ファイルシステムの基本的な構造

この構造に慣れておりフォルダー構造を頭に入れておけば、ファイル管理は簡単になるが、その一方でコンピューターに不慣れなユーザーには、コンピューターそのものを難解にする一因となっているのが現状だ。iOSのように表面的にはファイルの存在を意識させないOSも登場している(内部構造は階層型ファイルシステムを採用)。Windows OSの場合、タグ機能と検索機能を併用するファイル管理方法も存在するが、すべてのファイルに対してタグ付けできないため、浸透しているとは言い難い(図04)。

図04 ファイルのプロパティダイアログにタグなどを付けることで、検索時に使用可能なファイル形式もある。ただし、テキストファイルなどは指定不可能

阿久津良和(Cactus