第85回アカデミー賞受賞式が25日、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催された。

映画『アルゴ』のプロデューサー、左からジョージ・クルーニー、ベン・アフレック、グラント・ヘスロヴ
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同授賞式の最大の目玉である作品賞を受賞したのはベン・アフレックが監督と主演を務めた『アルゴ』。同作のプロデューサーとしてジョージ・クルーニーやグラント・ヘスロヴらと共に登壇したベン・アフレックは「スティーブン・スピルバーグは天才です。そして大変な偉人です。どれも受賞に値する作品だった。映画に関係した、あらゆる人に感謝します。またこういう場所に立てるとは思っていませんでした。でも、皆さんのおかげでここに戻ってくることができました。私を助けてもなんの得にもならなかったときに私を助けてくれた人たちに感謝します。また、そういった人たちから、無理だと思ってもそれ以上に努力しなければいらないこと、そして恨んではいけないことを学びました。人生は転んでもまた立ち上がらなくてはいけないんだということを学びました」と熱く語った。

また、主演男優賞を獲得した『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイスは「どうしてこうなったのか、本当にわかりません。ただ分かっているのは私が幸運に恵まれていることです」と挨拶。続けて、プレゼンターとして登場したメリル・ストリープに対し、同氏が映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011年)でマーガレット・サッチャー役を演じたことを引き合いに出し、「実は3年前、私はマーガレット・サッチャーを演じるはずだったんです。スピルバーグがリンカーンの第一候補に挙げたのがメリルさんだったんです。そのバージョンをぜひ見たかったです」とユーモアに富んだスピーチを展開した。

一方、主演女優賞に輝いた『世界にひとつのプレイブック』のジェニファー・ローレンスは「本当に信じられません。アカデミーの皆さんに感謝します。他の役者の方々がたくさんのインスピレーションを与えられました。本当にありがとうございます」と興奮冷めやらぬ様子で語った。

アン・リー監督
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左からダニエル・デイ=ルイス、ジェニファー・ローレンス、アン・ハサウェイ、クリストフ・ワルツ
Todd Wawrychuk / (C)A.M.P.A.S.

そのほか、同受賞式では、007シリーズの50周年企画と題し、特別映像を上映したほか、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが映画『シカゴ』(2002年)の踊りを、ジェニファー・ハドソンが『ドリームガールズ』(2007年)の歌を、またヒュー・ジャックマンやアンハサウェイ、ラッセル・クロウら『レ・ミゼラブル』の主要キャストが舞台狭しと映画さながらの圧巻なパフォーマンスを披露した。さらに、司会を映画『TED』のセス・マクファーレン監督が務めたこともあり、主演のマーク・ウォールバーグとともにテッドが登場。劇中さながらの下ネタを連発し、会場を盛り上げた。

なお、WOWOWでは25日の21時から同授賞式の様子を再放送。3月3日には『第85回アカデミー賞授賞式ダイジェスト』(16:20~)も放送される。

第85回アカデミー賞獲得作品

部門名 作品・受賞者
作品賞 『アルゴ』
監督賞 アン・リー『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
主演男優賞 ダニエル・デイ=ルイス『リンカーン』
主演女優賞 ジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』
助演男優賞 クリストフ・ヴァルツ『ジャンゴ 繋がれざる者』
助演女優賞 アン・ハサウェイ『レ・ミゼラブル』
外国語映画賞 『愛、アムール』(製作国:オーストリア)
脚本賞 『ジャンゴ 繋がれざる者』
脚色賞 『アルゴ』
撮影賞 『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
編集賞 『アルゴ』
美術賞 『リンカーン』
衣装デザイン賞 『アンナ・カレーニナ』
メイク・ヘアスタイリング賞 『レ・ミゼラブル』
作曲賞 『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
歌曲賞 対象曲「スカイフォール」『007 スカイフォール』
録音賞 『レ・ミゼラブル』
音響編集賞 『ゼロ・ダーク・サーティ』、『007 スカイフォール』※同率で獲得
視覚効果賞 『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
長編アニメ映画賞 『メリダとおそろしの森』
長編ドキュメンタリー賞 『シュガーマン 奇跡に愛された男』
短編ドキュメンタリー賞 『イノセンテ(原題)』
短編アニメ映画賞 『紙ひこうき』
短編実写映画賞 『リッチーとの一日』