「覆面調査士」の本橋南さん

彼女とのデート。おいしいと評判の店に行きたい。でもおいしいだけじゃ不十分、お店の雰囲気や気持ちの良いサービスだって大切ですよね。一体、彼女はどんなお店だったら満足してくれるのでしょうか。

というわけで、飲食店のサービスを調査・評価している「覆面調査士」の本橋南さんに、「デートを成功させるためのお店選びのポイント」を教えてもらいました。

調査を「また来たい」と思わせるお店作りに役立てる

――まず最初に、覆面調査士という仕事の内容を教えていただけますか?

「クライアントさまからのご依頼で、経営しているお店が、お客さまに満足いただけるサービスを実行できているかどうか、ありのままの実態を調査をする仕事です。社員の方はお店に顔を知られていますから、私たち調査士がお客になってお店に行き、普段のままのサービス実態を調査させていただくわけです。

調査の最終目的は『また来店したくなるお店作り』。調査結果はレポートの形でクライアントさまにフィードバックされ、お客さまにより満足いただけるお店作りに活用していただきます」

――調査対象は、どんなお店が多いんですか?

「やはり、チェーン展開しているレストランや居酒屋が多いですね。そのほか、スーパーやコンビニ、化粧品のショップなどです」

――調査には一人で行かれるんですか?

「いえ、基本は二人連れのお客という形でお店に行きます。例えば、女性が一人で居酒屋に行くってちょっと不自然ですよね。女性同士の二人連れとか、男女のカップルとかの形でお店に入ります。でも、調査に当たるのは調査士ひとりですよ。連れは誰でもいいんです、友だちでも家族でも」

――プロとして、どんなところをチェックするんでしょう?

「お店のサービスのクオリティー、それに伴う雰囲気の良しあし、簡単に言ってしまえば顧客満足度ということになります」

お店のサービスを決定づける重要5ポイント

ということで、今回は特別に本橋さんが覆面調査士として働く会社「メディアフラッグ」のご好意により、チェック項目が記載された調査票サンプルを見せていただきました。

調査(設問)項目は45項目にも及んでいますが、まずはそのうちの「重要設問」5つをご紹介してみましょう。この項目が、デートにおけるお店選びにも必ず役に立ちます。

(1)料理の味に満足できたか
(2)入店後すぐ笑顔でのあいさつがあったか
(3)メニューに対する問い合わせへの対応は的確だったか
(4)お勧め商品の説明は注文意欲がわくものだったか
(5)退店時の「ありがとうございました」などのあいさつに、感謝の気持ちが感じられ、周囲のスタッフからもあいさつがあったか

以上が5つの重要設問。デートの下見にお店に行ったら、この5つの視点でサービスぶりをチェックしてみてはいかがでしょうか。

このほか、調査票の全45項目に目を通していくと、「入り口周辺の清掃や整理整頓」「カウンターやテーブルの清潔感」「ファーストドリンクの提供時間」「料理の提供時間やタイミング」「下げ物のタイミング」「トイレの清掃状態」などが、目を光らせるポイントとして列記されています。彼女をガッカリさせないためにも、細やかなチェックをしてみましょう。

ドリンク2分、料理5分が提供時間の合格ライン

――採点や評価はどんな風に?

「最終的には、3段階のランク評価になります。『VG(Very Good)』『OK』『NG』の3ランク。項目ごとの評価を集計、分析して総合的な調査レポートにするんです。『輝いていたスタッフがいたかどうか』『また来店したいか』といったテーマで、私たち調査員がさらにコメントも添えて、レポートをより充実したものに仕上げます」

ちなみに、「ドリンクが来ない」「料理が遅い」など、私たちがしばしば経験する不満やイライラですが、本橋さんによれば、ドリンクなら2分以内、料理なら(特別な料理は除く)5分以内が「OK」の合格ラインだそうです。

なお、覆面調査士は女性のほうが多いとか。やはり、女性のほうがお店の味やサービスに敏感なのかもしれませんね。

いかがでしたでしょうか? これらの項目を用いてチェックすれば、必ず良いお店が見つかるはず。ぜひ楽しいデートを楽しんでくださいね。

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本橋南(もとはしみなみ)
株式会社メディアフラッグ流通支援部リサーチ東京チーム