映画『草原の椅子』の初日舞台あいさつが23日、東京・丸の内TOEIで行われ、キャストの佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子、小池栄子、黒木華、中村靖日、貞光奏風と成島出監督が出席した。
映画『草原の椅子』は、芥川賞作家・宮本輝の同名小説を、成島監督が実写化した感動作。カメラメーカーに勤めるバツイチ子持ちの遠間憲太郎(佐藤)は、取引先の社長・富樫重蔵(西村)に懇願され、親友として付き合い始める。そんな折、陶器店を営む女性・篠原貴志子(吉瀬)に想いを寄せるようになった遠間は、ひょんな事から親に見捨てられた4歳の圭輔(貞光)の面倒を見ることになる。圭輔の将来を案じる遠間と富樫、貴志子は圭輔を連れて、世界最後の桃源郷と呼ばれるパキスタンのフンザへ、人生を見つめ直す旅に立つ――というストーリーで、映画は全国公開中。
成島監督は「(原作者の)宮本さんは『良い映画だ』と3回立て続けに見て下さったそうで、本当に良かった。この映画のように幸福の連鎖を広げていって欲しい」と安堵の表情を浮かべ、主演の佐藤は「押し付けがましくない奥ゆかしい映画になった。苦労はたくさんあったけど、50歳を過ぎた自分のキャリアとして、この作品は超えなきゃいけないハードルだった。思い入れの深い作品になりました」と特別な想いがある様子。西村はパキスタンでのロケについて「フンザの地に立った時は、真の自然を見た気がして体が震えました」と感慨深げに振り返り、「デコボコ道を28時間もかけて車で移動したり、4回もパンクしたりして大変だったけど、良い国だった。パキスタン、万歳!」と叫んで観客の笑いを誘った。イベントには、パキスタン大使館のファルーク・アーミル駐日大使も駆け付け、「美しいパキスタンを紹介してくれてうれしい。本当に素晴らしい映画です」と佐藤、吉瀬らに花束を手渡した。
また、黒のゆったりとしたワンピースで登場した吉瀬は、21日に自身のブログで実業家の夫との間に出来た第1子の妊娠を発表したばかり。現在、妊娠4ヵ月の吉瀬は、MCから祝福されると「ありがとうございます」と幸せそうな笑みを浮かべ、「子どもが出来なかった役なんですが、パキスタンで流星に願いをかけたら、帰ってきてから子どもを授かりました。みなさんも、この映画を観たらきっと幸せになれると思う」と告白。さらに「砂漠は行ったことが無くて、サラサラした砂だと思ってたら意外と硬かった。浩市さんは、子どものようにダンボールを持って滑ろうとしてたけど、悲しい感じになってました(笑)」とエピソードを披露すると、佐藤は「フンザの夜空の下で、密造酒を飲んで語り合うシーンがあるんですが、1分に1回くらい星が流れるんです。その時に、吉瀬さんがそんな願いをかけてたとはつゆとも知らず。おめでとうございます」と笑顔で祝福した。