2月19日、NVIDIAはGeForce GTX TITANを公式発表した。このGeForce GTX TITANとは何か? というと、こちらでは「GPU向けに廻すつもりは無いようで」とか書いた、GK110の事である。

GK110は2012年11月にTesla K20Xとして発表されたが、これをGPU向けとしてラインナップしなおしたのがこのGeForce GTX Titanである。ただ完全に同じものではなく、若干の仕様変更があるが、それについてはこちらを参照されたい

GeForce GTX Titanは15個のSMX(Stream Multiprocessor eXtended)を搭載、うち14個を有効にする。それぞれのSMXは192個のCUDA Coreから構成されるので、合計では192×14=2688 CUDA Coreという計算になる(Photo01)。

Photo01:なぜかCore i7-3960Xとの比較になっているが、まぁ同程度の規模のダイだからという事だろう。

GeForce GTX TITANの主要な特徴はPhoto02の通り。GeForce GTX 680と比較するとTDPは55Wほど増えている計算になるが、CUDAコア数(1536→2688)やメモリバス幅(256bit→384bit)を勘案すれば、この程度のTDPで収まっているのがむしろ不思議という位である。

Photo02:動作周波数はやや低めだが、メモリバス幅、CUDAコア数ともに大幅増なので、多少動作周波数を下げても十分お釣りが来るという事か。

NVIDIAはこのGeForce GTX TITANをハイパフォーマンスゲーミングに最適としており(Photo03,04)、また騒音対策も万全であると説明している(Photo05~07)。

Photo03:3-way SLIにも対応しているのが特徴。ただ金額はいくらになるのかを考えると、ちょっと非現実的な気が。

Photo04:GeForce GTX 690のQuad SLIよりもGeForce GTX TITANの3-way SLIの方が高速という、判るような判らないような比較。Battlefield3の性能が殆ど変わらないは理由があるのだが、これはベンチマークの処で説明。

Photo05:同程度のTDPであるRadeon HD 7970のReferenceと比較すると確かに静かではあったが、こうした放熱機構が毎年進化していることを考えるとちょっとフェアな比較ではないかも。フルロード時でもそれほどうるさいという感じはしなかった。

Photo06:だから3-wayで比較するのはどうかと思うのだが……

Photo07:次ページのマシンとは違うものであるが、GeForce GTX TITANを搭載した小型マシンでも、騒音はより少なく、性能はより高いとしている。

また今回GeForce GTX TITANで搭載された2つの技術があり、1つはGPU Boost 2.0。GPU BoostそのものはGeForce GTX 680の世代で入ったもので、要するに動的なオーバークロックを行うものだが、GPU Boost 2.0ではよりこれを追い込んだものになっている(Photo08~Photo12)。

Photo08:GPU Boost 2.0ではより高い周波数まで引き上げが出来るようになる。とは言え、GPUの温度が高くなるほどマージンが減るのは一緒。

Photo09:GPU Boost 2.0では電圧の上げ方が2段階になった模様。従来よりも高い電圧まで供給するようになったが、周波数/電圧の比が途中から変化しているのが判る。

Photo10:従来のGPU Boost 1.0ではあくまでも最大定格電圧の範囲でのBoostであったが、今回はOver Voltage対応も加わり、より高い動作周波数まで引き上げされるようになった。

Photo11:この結果としてよりコアの温度も上がるのだが、ターゲット温度そのものの引き上げ機能も入った模様。

Photo12:例えば+10℃にすると、平均的に動作周波数の平均値が上がる、という話。

もう一つはDisplay Overclockingで、これは無理やり画面のリフレッシュレートをより高く引き上げるというもののようだ(Photo13)。

Photo13:通常、液晶のリフレッシュレートは60Hzとなっているが、このDisplay Overclockingを使ってリフレッシュレートを80Hzまで引き上げることで、特にFPSなどにおける操作感を改善するというもののようだ。

製品外観

さてリファレンスボードであるが、見かけはシルバーとブラックの比較的抑えた色調のもの(Photo14,15)。ヒートシンクの上が透明アクリルになっているのは、ごみが詰まったときに目視できて便利……という訳ではないと思う。

Photo14:出力はDVI×2、HDMI×1、DisplayPort×1という構成。全体的にエッジを落とした形状。表面カバーはプラスチック製。

Photo15:電源は8pin+6pin構成。配置はコンサバティブな横並びになった。ちなみに上面の"GEFORCE GTX"のロゴは電源を入れると点灯する。

GeForce GTX 680/690ではGDDR5は表面のみに実装されていたが、GeForce GTX TITANでは遂に裏面にもGDDR5チップが実装された(Photo16)。

Photo16:意外に整然とした裏面。

ちなみに基板長は265mm、重量は935g(いずれも実測値)で、GeForce GTX 680のリファレンスと比較するとちょっと大きく・重くなっているが、Radeon HD 7970のリファレンスと比較すると若干小ぶりかつ軽い。カバーを外すとこんな感じになっており(Photo17~19)、この内部カバーやファンを外すとこんな具合だ(Photo20,21)。ヒートシンクはアルミ製で、比較的シンプルなものだった(Photo22)。

Photo17:GPUやGDDR5などからの熱は、ブラケット経由で背面排気となる。

Photo18:逆に12V電源からPWMコントローラに行く手前の一時電源部の排熱は、ケース内部方向になるわけで、これはケース内ファンの起こす風の流れと逆方向になりそうな気が。

Photo19:ファンの真下にPWM部が配されている事が判る。

Photo20:電源そのものは6-Phase構成。

Photo21:真上から。意外に電源部のあたりがすっきりしているというか、何もない事が判る。

Photo22:重量は278gだった。

さて、メインになるGK110はご覧の通りかなり大きい(Photo23)。パッケージサイズは実測で45mm角であり(Photo24)、ここからダイサイズを推定すると23.1mm×24.1mmで556.7平方mmというサイズになる。言うまでもなくコンシューマ向け製品のダイとしては史上最大規模である。

Photo23:流石に71億トランジスタだけあって、ダイサイズもかなりのもの。パッケージは正方形だった。

Photo24:写真ではやや斜めになっている関係で44.5mmほどに見えるが、実際にきちんと定規を当てて測定したところ、一辺45mmであった。

GDDR5チップはSAUMSUNGのK4G20325FD(Photo25)が、PWMコントローラとしてはON SemiconductorのNCP4206(Photo26)が、チップそのものではなくPWMコントローラモジュールという基板の形で実装されているのがちょっと目を引くところだ。

Photo25:Speedは03(6000Mbps)なので、GeForce GTX TITANのスペックそのままでヘッドルームは無いことになる。製品ページにはSpeedとして28(7000Mbps)もラインナップされているが、流石にこれは搭載されていなかった。

Photo26:NCP4206はNVIDIAの製品には良く使われているが、汎用品ではなく、NCP4208の6-Phase制限版と思われる。恐らく8-Phaseも要らないからその分値段を下げた(代わりに専用品ということでNVIDIAが大量購入契約を結んだ)ものであろう。

ちなみにGPU-Zでの表示はこんな具合(Photo27)、Windows 8におけるPerformance Indexは8.2であった(Photo28)。

Photo27:GPU-Z 0.6.7ではまだTechnologyなどには未対応の模様。とはいえ、主要なスペックはPhoto02と同じであることが判る。

Photo28:ちなみにGeForce GTX 680やRadeon HD 7970の場合はグラフィックス/ゲーム用グラフィックス共に8.1であった。

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