2本のサウンドはどのくらい違うのか

まずは、SRS-BTX300の音を聴いてみよう。先にSRS-BTX500を聴いてしまうと、何を書くのか分かったものではないからだ。なお、今回聴いているカテゴリーはSmooth Jazzが中心だ。

「SRS-BTX300」

操作部は側面と天面にまとめられている

ボーカルや、サックスの音の表現は好印象だ。一方、ライブ性の強い曲(聴いたのはAl JarreauのGoodhands Tonightや、SpyroGyraのSchu's Bluesといった曲)では、生のストリングスやピアノなどの響きが少々乏しく感じられる。中域から上にかけては自然なサウンドなのだが、中低域から下にかけて、少々タイトになることが原因ではないだろうか。

SRS-BTX300は、低域の量をアップさせるバスブースト機能も搭載している。筆者の手元にあるBluetoothスピーカー「Creative D80」と比較してみると、バスブーストをオフにした状態では、SRS-BTX300よりも、D80のほうが低域の量は感じられる。しかし、D80の低域は、SRS-BTX300に比べると少々こもった感じになってしまっている。それに対して、バスブーストをオンにしたSRS-BTX300は、D80以上の低域の量になるのだが、こもった感じにはならない。締まった感じの低域なのだ。

音の定位や臨場感は、それほど高いというわけではない。これは、幅の狭いワンボックススピーカーという性格から、ある意味で仕方のないことだろう。

低域の絶対量は、今どきの音楽を中心に聴き、低域の量感を重視している人には、少々もの足りないかもしれない。一方で、日常的にスマートフォンからの音楽再生やネットラジオをかけっぱなし……といった使い方ならば、極端に刺激が強くなくクリアなSRS-BTX300のサウンドは、なかなか聴きやすいといえるだろう。

「SRS-BTX500」

続いてSRS-BTX500だ。SRS-BTX300と同じ楽曲を聴いていたのだが、明らかに別物のサウンドだ。SRS-BTX300とは異なり、広がり感やライブ感をうまく表現できる。低域も、バスブーストをオンにしなくても十分な量感だ。2.1chによる中低域の表現力の向上だけではないだろうが、ボーカルも、SRS-BTX300とはかなり印象が異なる。SRS-BTX300で聴くAl Jarreauは、なんというか、声が少々若く聞こえる。それに対してSRS-BTX500では、年相応に聞こえる。2008年のCDなので、70歳近い年齢のはずだ。Brenda RussellのWalkin' In New YorkやAnnekeiのDAys Like Thisといった女性ボーカルもリアルに聞こえる。

同じシリーズでも全く性格の違う2台

両モデルはデザイン的にはかなり似ており、同じシリーズの上位グレードと下位グレードということになる。しかし、構造面とサウンドの違いは大きい。磁性流体流体サスペンションの効果なのか、Clear Phaseテクノロジーの効果なのかは分からない。一つ一つを切り出してみることはできないからだ。しかし、SRS-BTX500を聴いた後でSRS-BTX300を聴くと、出てくる情報量に限りなく大きな差があり、はっきりいって音質的には比べ物にはならないことがよく分かる。

SRS-BTX300も、コンパクトなワイヤレススピーカーとしては、比較的良いバランスだとは思うが、それはあくまでも、コンパクトなワイヤレススピーカーとしての話だ。SRS-BTX500は、普通に音楽リスニング用のスピーカーの入門機としても面白い存在だ。

背面には、おすそわけ充電器膿瘍のUSB端子を備える。おすそわけ充電機能は、SRS-BTX300のほうが使う機会が多そうだ

一方で、外に持ち歩くのがメインなら、SRS-BTX300のサイズが生きてくるだろう。SRS-BTX500は、ポータブルモデルとはいえ、かなり大きいサイズだ。家の中での移動ぐらいならば問題はないが、日常的に外に持ち歩くのは少々辛い。両モデルとも、内蔵バッテリーから他のデバイスへのおすそわけ充電機能が搭載されているが、SRS-BTX500でこれを使う機会はあまりないのではないだろうか。より高い音質を取るのか、それともより高い可搬性を取るのかということだろう。