ソニーが2月21日に発売するワイヤレススピーカー「SRS-BTX500」「SRS-BTX300」は、可搬性と音質の両立が高いレベルで実現された製品だ。機材をお借りできたので、試聴してみた。

SRS-BTX500とSRS-BTX300は、ポータブルタイプのBluetoothスピーカーというカテゴリーの製品だ。このカテゴリーでは、2012年に同社が発売した「SRS-BTV5」がベストセラーモデルとなっている。筆者は、SRS-BTV5をまだ真剣には聴いたことがないので、SRS-BTV5についてはなんとも言えないのだが、以前レビューを行った「SRS-BTD70」が、音質的にも可搬性的にも、予想以上にバランスのとれたスピーカーだったので、その上位モデルであるSRS-BTX500とSRS-BTX300も大いに期待できる。

持ち運び性を考慮したポータブルスタイルの「SRS-BTX300」と、よりサウンドを重視した「SRS-BTX500」

先日、ソニーで行われた商品説明会の会場で、SRS-BTX500とSRS-BTX300の音を聴いてはみたのだが、会場は普通の会議室で、音質を評価するのに適した環境とはいえなかった。発売を前に試作機をお借りすることができたので、2製品の音質の違いなどについてレポートしてみたいと思う。

まずは製品の概要をチェック

システム的には、SRS-BTX500は2.1ch、SRS-BTX300は2chのスピーカーだ。いずれもバスレフではなく、パッシブラジエーターを採用している。これはバスレフポートを設けることで本体が大型化するのを避けるためと、風切り音への配慮など、音質面での判断もあったようだ。SRS-BTX500では2本、SRS-BTX300では1本のパッシブラージエーターを搭載している。また、SRS-BTX500のスピーカーユニットには、磁性流体が採用されている。

一般的なスピーカーのユニットには、ダンパーと呼ばれる部品が使用されている。スピーカーの振動板の外側は、エッジ部分を介してフレームに固定されている。一方、ボイスコイル側を固定するのがダンパーだ。単純に固定しているのではなく、一種のサスペンションとなっている。構造上、なければ困るパーツだ。このダンパーには、ゴムなどの素材が使用されているのだが、これが振動板の動きに影響を与えることになる。このダンパーの代わりに磁性流体をサスペンションとして使用したのが磁性流体スピーカーで、従来のスピーカーに比べて、中高域でのレスポンスが向上するとされている。

アンプは、いずれもフルデジタルのS-Mastereで、最大出力は、SRS-BTX500が10W×2+20Wで、SRS-BTX300が10W×2だ。ポータブルタイプとしては十分すぎる出力だといえるだろう。

非可逆圧縮された音楽ファイルの再生時に高域の補完を行う「DSEE」が採用されている点は、スマートフォンでの使用を強く意識したものだろう。また、SRS-BTX500には、「Clear Phase」テクノロジーも採用されている。Clear Phaseテクノロジーは、DSPによって拡散音場特性を改善する技術で、「ウォークマン S770」シリーズにも採用されている。「S770K」シリーズのコンパクトな付属スピーカーの音が、いままでのものとは別次元のクリアな定位と奥行き感を実現していることに驚いた人もいるのではないだろうか。

Bluetoothのバージョンは3.0で、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)にも対応する。NFCに対応したスマートフォンとは、ワンタッチで接続/切断が可能だ。プロファイルは、A2DP/AVRCP/HSP/HFPに対応しており、ハンズフリー通話も可能だ。コーデックは、SBCだけでなく、AAC/apt-Xも採用している。

本体サイズは、SRS-BTX500がW385×D65×H152mmで、SRS-BTX300がW341×D58.5×H115mmだ。重量はSRS-BTX500が約2,000gで、SRS-BTX300が約1,600gとなっている。電源は、ACアダプター、または内蔵バッテリーだ。内蔵バッテリーは7.4V/1,850mAhと大容量で、USB出力も装備しており、外出先で、他のポータブルデバイスに充電を行うこともできる。

両モデルの違いは、サイズと磁性流体スピーカー、サブウーファーの存在、Clear Phaseテクノロジーといったところだ。

次ページ: 実際に聴き比べて分かった2つのスピーカーの違い