汗をかきにくい冬は体臭ケアを怠りがちですが、実はニオイが発生しやすい季節ということをご存じでしょうか。特に男性はホルモンの影響で皮脂の分泌が多く、空気が乾燥している冬は知らぬ間にニオイが強くなっていることもあるようです。体臭の原因と対策について、五味クリニック院長・五味常明(ごみつねあき)先生に教えていただきました。
原因1:ベタベタ汗
サラッとした汗は、ほとんどニオイがしないものです。しかし、運動不足やストレス過多の場合は、ベタベタした汗をかいてしまいます。すると、いわゆる「汗臭い」状態になるのです。このような汗は蒸発しにくく、皮膚にある常在菌の繁殖を助けてしまうので、汗のニオイが強くなってしまいます。
また、食生活がかたよっていると、体臭が強くなりやすいですね。動物性たんぱく質を摂(と)りすぎると、皮膚表面の細菌が皮脂と汗を分解し、酸化してしまうので、ニオイが発生してしまいます。
対策:防臭&制汗ケアを行う
対策としては、運動をすることが一番なのですが、できない場合は汗の対処を心がけましょう。汗はかいてから1時間ほど経過するとニオイが発生するので、かいたらすぐにぬれたタオルでふき取るようにしましょう。
防臭&制汗ケアには、濃いめの緑茶にミョウバンを入れたものがおすすめです。ミョウバンは制汗効果が高く、雑菌の繁殖を抑えることができるので、ニオイを予防する効果もあります。
1.5Lの緑茶に対してミョウバン50gを溶かし、スプレー容器に入れてニオイが気になる部分に吹きかけてください。そこにレモン汁(1個分)を入れると、さらに効果が長持ちします。
原因2:身体を洗いすぎている
身体を洗う時に強くこすったり、洗浄力の強いボディーソープなどを使ったりすると、身体に必要な皮脂が奪われて肌が乾燥してしまいます。このような状態では、肌から水分が蒸発しやすくなり、その水分とともに身体の老廃物などのニオイが放出されるので、体臭の原因になるのです。
また、皮脂の分泌が盛んになって、それが酸化することでもニオイが発生します。
対策:肌が乾燥しないよう、保湿ケアをする
肌がカサカサしていると感じたら、必要な皮脂まで洗い落としている可能性があります。まずは、ボディーソープなど見直して乾燥肌の改善を。低刺激で界面活性剤などの合成物の入っていないものを選ぶといいでしょう。
また、化粧水やボディークリームで肌に潤いを補給することもお忘れなく。夏でもお風呂上がりは皮脂が失われているので、保湿ケアをした方が良いですね。
原因3:疲れている(疲労臭)
たんぱく質を分解した時にできるアンモニアは、肝臓でろ過され尿素となって排出されます。しかし、疲れがたまっていると肝機能が弱まり、血液中のアンモニア量が増えてしまう。そのため、皮膚からアンモニア臭を発することがあり、これを「疲労臭」と言います。
対策:ゆっくり休む時間をとる
疲労回復には休養が一番。どんなに仕事が忙しくても、湯船につかって一日の疲れを癒やす、睡眠をしっかりとるなど心がけましょう。
ストレスがたまっていても、疲労臭が発生しやすくなります。スポーツや趣味など、ストレスを上手に発散できる方法を身につけておくといいですね。
原因4:加齢臭
いわゆる加齢臭の原因は、「ノネナール」といわれる物質です。皮脂を分泌する皮脂腺には、加齢とともに脂肪酸が増加します。これが過酸化脂質と結びついて、分解、酸化されるとノネナールができるのです。
過酸化脂質は、タバコやお酒、肉類やバターなどの脂質を多く摂取すると増えてしまいます。生活習慣病予備軍の方は注意が必要です。
対策:和食中心の食生活にする
体内に活性酸素が多く発生することでも、加齢臭の原因となる過酸化脂質は増えてしまいます。活性酸素を減らすためには、ビタミンCやビタミンEを野菜から摂取するようにしましょう。別々に摂るよりも、一緒に摂取した方がより効果的です。
和食中心の食生活に切り替えれば、体臭ケアだけでなく、生活習慣病の予防もできます。季節の野菜はもちろん、和食に使われている大豆製品や魚介類、玄米には、活性酸素を抑える抗酸化作用があるので、健康な身体へと導いてくれるでしょう。
体臭は自分では気づきにくいものです。気にしすぎるのはよくありませんが、ニオイが気になる方はご家族や恋人にチェックしてもらうといいでしょう。