あるアナリストの指摘によれば、MicrosoftがOffice製品のWindows以外のプラットフォームへの展開を行わないことによる損失規模は25億ドル以上に上るという。現在、iPadなどのモバイルOS向けにフル機能のOffice提供されていないが、こうしたプラットフォームに対応することでWindowsタブレットでの不調分をリカバーできる可能性があるとしている。

同件はForbesが報じている。もともとは米Morgan StanleyのアナリストAdam Holt氏が先週頭に発表したレポートでの発言で、MicrosoftはOffice製品をWindowsタブレットの差別化要因と捉えている一方で、これが機会損失にもつながっているというのがその趣旨だ。昨年2012年第4四半期におけるPCセールスは比較的不調で、特にMicrosoftが肝いりで投入したSurface RTの同四半期での販売台数は100万台に満たなかったといわれている。他のWindowsベースのタブレットもまた当初の見込みほどは業績を伸ばせなかったことで、今年中にもMicrosoftが何らかの対応策を出してくるとの予測がある。

Holt氏が特記しているのは「Office for iPad」で、もしMicrosoftが同製品のリリースを決断した場合、将来的にWindowsタブレットの販売目標が達成できなかったとしても、その分の損失をリカバーできる可能性があるという。例えば、2013年内におけるWindowsタブレットのシェアは10%に満たず、この市場での多くのシェアはiPadに偏っている。同氏の予測によれば、Office for iPadの登場で25億ドル以上の売上と1株あたり16セントの利益押し上げ要因になるという。これは残りのシェアの多くを握るAndroidタブレットでも同様だといえる。

なお、Office for iOS/Androidの噂は以前からあり、今年春ごろにOffice 365のサブスクリプションを通じてサービスが提供されるという内容だ。Forbesによれば、先週米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Goldman Sachs Technology and Internet Conference」において、Microsoft CFOのPeter Klein氏が同件に関する質問を受けたものの、明確な回答は行っていないという。市場の勢力図が大きく変化しているいま、モバイルデバイス向けのOfficeというのは確かに有益な選択肢の1つかもしれない。