ヘルスケア商品を製造・販売するキューサイは9日、順天堂大学医学部・長岡 功教授と共に、「第9回グルコサミン研究会学術集会」において、コラーゲンペプチド含有食品の摂取がヒザ関節痛を緩和し、ヒザの屈曲角度を改善する可能性が示唆された、と発表した。
コラーゲンペプチド含有食品のヒザ関節痛症状改善効果を検証
同社は京都府立大学と大阪市立大学の協力を得て、コラーゲン摂取から効果実感までのメカニズムを検証し、2010年10月にコラーゲンペプチド含有食品の摂取が関節の改善に役立っていると考えられると発表した。こうした背景をもとに、今回の研究では、コラーゲンペプチド含有食品のヒザ関節痛を有する被験者に対する症状改善効果とバイオマーカーへの影響を検証した。バイオマーカーとは、体液および組織に含まれるタンパク質などの生体由来の物質で、生体内の生体物学的変化を定量的に把握するための指標。
同研究の方法は、ヒザ関節痛を有する40歳から78歳までの男女29名を対象に、15名にはコラーゲンペプチド含有食品(被験食品群)を、14名には同成分を含有しないプラセボ食品(プラセボ群)を、各々16週間摂取してもらった。試験による評価方法として、医師が客観的に評価するJOAスコアや、被験者が主観的に自覚症状を数値化するVAS法などを実施した。また、血液検査により炎症に及ぼす効果を測定した。
ヒザ曲げの角度が改善
JOAスコアを4週間ごと4回測定。被験食品群において「屈曲角度」のスコアが上昇し、改善していることが分かった。
ヒザの痛みの自覚症状が改善
VAS法で4週間ごと4回測定。被験食品群において「安静時」の数値が有意に低下し、痛みの自覚症状が改善していることが分かった。
炎症症状を引き起こす原因物質の合成・生成が低減
炎症に及ぼす効果について血液検査を実施したところ、摂取前と摂取後(16週間後)にバイオマーカーのひとつである炎症性サイトカインIL-17Aを測定。被験食品群において、摂取前より有意に低下していることが分かった。炎症性サイトカインとは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、生体内におけるさまざまな炎症症状を引き起こす原因因子。IL-17Aは同物質の合成・生成を誘導する。
同研究のまとめとして長岡教授は「被験食品(コラーゲンペプチドを含有する食品)はヒザ関節痛を有する被験者に対して、炎症を抑制することによって、ヒザ関節痛を緩和し、ヒザの屈曲角度を改善する可能性が示唆された」としている。