産労総合研究所は14日、「春季労使交渉(春闘)にのぞむ経営側のスタンス調査」の結果を発表した。対象は、全国1・2部上場企業と過去に同調査に回答のあった同社会員企業から任意抽出した3,000社で、有効回答数は155社。調査期間は2012年11月~12月、調査方法は郵送。

まず、自社の賃上げ予定を尋ねたところ、「賃上げを実施する予定」と回答した企業は68.4%。一方、「賃上げは実施せず、賃金を据え置く予定」は4.5%、「現時点(2012年12月、以下同)ではわからない」は24.5%となった。

賃上げを実施すると答えた企業に対し、予想賃上げ率を聞くと、圧倒的多数の86.8%が「2012年と同程度」と回答。予想賃上げ率は平均1.7%で前年と同率だった。以下、「2012年を下回る」が6.6%、「2012年を上回る」が5.7%と続いた。なお、予想賃上げ率について見ると、各企業の回答範囲は1.4~2.4%(前年1.7~1.9%)とこれまでより大きく差がついており、同社は「一部では賃上げ率の企業間格差が開く傾向にある」と分析している。

自社の予想賃上げ率(出典:産労総合研究所Webサイト)

定昇制度のある企業に対し、2013年の賃金改定に向けたスタンスを質問すると、「定昇のみ実施する予定」が66.1%で最多。次いで、「現時点ではわからない」が28.1%、「定昇もベアも実施する予定」が5.8%となった。規模別に見ると、中小企業で「定昇もベアも実施する予定」が11.5%と前年の5.8%より倍増していた。

非正社員の賃金を「2012年に増額した」企業は29.0%で、前年比3.7%増。反対に「見直していない」は同1.3%減の61.9%だった。続いて2013年の見通しを聞くと、「見直す予定はない」は同1.5%減の43.9%、「現時点ではわからない」は同0.3%減の34.8%となった。一方、「賃金を増額する予定」は同1.3%増の16.8%で、増加傾向をわずかながら維持した。

業績連動型賞与を「導入している」企業は33.5%で、前年より1.9%増加。しかし、導入率の規模別詳細を見た場合、中堅(同6.2%増の34.0%)と中小(同4.0%増の31.3%)では増えていたのに対し、大企業(同7.1%減の37.1%)ではやや減っていたことがわかった。

次に、今春予定されているいくつかの雇用関連法の改正事項について、現時点における対応状況を調査。うち、改正労働契約法に関しては、「検討中」が60.6%、「取り組んでいない」が12.3%となり、「すでに対応策を決定」した企業は11.0%にとどまった。

改正高年齢者雇用安定法については、「すでに対応を決定」が19.4%、「検討中」が71.6%で、合わせて9割の企業が対応済みもしくは対応検討中との結果に。障害者雇用安定法については、「すでに対応策を決定」が18.1%、「検討中」が52.9%。労働者派遣法については、「経営にほとんど影響ないので、対応策は考えていない」が52.9%と過半数に上った。