豊かな自然に囲まれた然別湖(しかりべつこ)の湖面に現れるイグルーの集落

十勝の凍結した天然湖の湖上に、毎冬こつぜんと現れる村がある。村の名前は「しかりべつ湖コタン」。「コタン」はアイヌ民族の言葉で「集落」という意味。完全凍結した然別湖(しかりべつこ)の湖面の上に、かつてイヌイットが氷や雪で建てた住居イグルーが立ち並び、集落が形成されるのだ。幻想的でユニークな氷の世界を、ぜひあなたも訪れてみてはいかが?

これぞ寒冷地北海道ならではの世界

集落が現れる湖・然別湖は、十勝の鹿追(しかおい)町北部、大雪国立公園内に位置する湖。北海道内の湖の中では最も標高の高い場所にあり、毎冬湖面は全面凍結する。周囲は豊かな自然に囲まれており、独特な生態系もある。地域の素晴らしさを体験してもらうため、地元の有志たちによって毎冬オープンするのがしかりべつ湖コタンだ。

氷の集落といっても、いきなり冬季限定で人が住みつくわけではない。訪れる人たちが氷の世界を体験できる、様々な施設が用意されるのだ。なにせ湖面が凍結するほどの山上湖なので、やはり寒さはきびしい。しかしこの厳しい寒さを利用して、楽しい、そしておそらく世界でも例がないような施設が数々用意されるのである。

アイスバーでは、氷のグラスでドリンクを楽しむこともできる

世界唯一の氷上露天風呂

コタンに設けられる施設は、よそではめったに出合うことができないものが多い。中でも現在のところ世界で唯一と思われるのが、氷上の露天風呂だ。文字通り氷の上の露天風呂で、凍結した湖を一望しながらのんびり湯につかることができるのだが、なんと利用は無料! ここを訪れるなら、ぜひともこの世界唯一のビックリ湯につかっていただきたい。

その他にも、アイスバーに併設したアイスシアターや屋外に設けられた氷の迷路、全て氷で作られたアイスホールで開催されるライブイベントなどは、無料で楽しめる。

凍結した湖面の絶景を湖の真上から眺めて入浴できる露天風呂

まだまだある、氷の世界ならではの体験プログラム

このほか、たくさんの有料プログラムが用意されている。氷のグラスづくりや彫刻づくり、然別湖周辺の冬の森の散策ツアー、氷上でのクロスカントリーやスノーモービル、そして冬の十勝平野を一望できる熱気球など、冬を楽しむ催しがめじろ押しだ。

メニュー名 開催時間、料金
氷のグラス作り 9:00~17:00(受付随時)/1,500円(1ドリンク付き)
氷の彫刻 10:00~16:00/2,000円~
スノーモービル 9:00~16:00または日没/1人乗り=1,500円(自分で運転)、お任せ=1,000円(ガイドが運転)
クロスカントリースキー ショートコース (9:30~、13:30~の1.5H)/2,600円 、東雲湖コース(9:00~、13:00~の3H) /4,500円
森の散歩 森の散歩(9:30~、13:30~の1.5H)/2,500円、早朝森の散歩(6:00~の1H)/2,100円
ナイトウォッチング 19:30~の1H/大人=1,800円、子ども=1,300円
アイスロッジ宿泊体験 17:00~翌10:00 ※無料だが道具レンタル料が必要
たっぷり冬の然別湖 9:00~16:00/8,000円

また、アイスロッジと名付けられたイグルー(雪の家)で宿泊することもできる。シュラフ(寝袋)はレンタル可能。こちらは世界唯一でないかもしれないが、かつてのイヌイットが過ごしたような一夜を体験できる施設は大変貴重だ。健康な人はぜひアタックしてみてはどうだろう。

そして宿泊するならぜひ体験してほしいプログラムが、ナイトウォッチングだ。一切のあかりを持たずに湖面から見る冬の星空は、最高の思い出として記憶の中でいつまでも輝き続けること間違いなしだ。

夜のアイスチャペルでは、寒さと共に荘厳な雰囲気が感じられる

ちなみに、こちらの会場を訪れるなら、帯広もしくは新得(しんとく)から然別湖行きのバスを利用するといいだろう。乗車時間は帯広からだと約1時間、新得からだと30分程度だ。ちなみに、マイカー利用の場合は十勝清水ICより約1時間。無料で利用できる駐車場は100台分ほどあるので安心だ。

2013年の開催日時は1月26日から3月31日。詳しい内容についてはwebサイトに記載されているので要チェック! サイト上から近隣のホテルへの宿泊も申し込めるので便利だ。

十勝の冬の自然、そしてユニークな氷の世界を楽しむことができるしかりべつ湖コタン。訪れる際には、しっかりとした防寒対策をお忘れなく。