スーツにコート、普段着と、衣類をきれいに保つためにいつもお世話になっているクリーニング。でも、実際にどんな作業が行われているのか、クリーニングに出す際に気をつけるべきことは何か、意外に知らないことも多いのでは?

クリーニングについて詳しく知り、もっと上手に利用できれば、日々の生活がもっと便利になるはず。そう考えた筆者は早速、「クリーニングのプロ」に質問することにしました。なお、今回答えていただいたのは、全国無料宅配クリーニングサービス「せんたく便」を運営するヨシハラ代表取締役、吉原保氏。

「ランドリークリーニング」「ドライクリーニング」など賢く使い分けよう

クリーニングの素朴な疑問に「クリーニングのプロ」が答える(写真はイメージ)

筆者はクリーニングに出す際、「通常のクリーニング以外に『ドライクリーニング』ってのもあるし、何と言ってクリーニングに出せばいいのかわからない! 洗えるだけなら家で済ませてもよいのでは? そもそもクリーニングってどう使えば一番いいの?」と思ってしまうことがしばしば。賢く使い分けるためにはどうすればいいのでしょうか?

――クリーニングにはドライクリーニングなどのように種類がありますよね。どうやって使い分ければいいのですか?

吉原氏「そもそもクリーニングというのは、『原型を留めた状態で、衣類を洗浄する技術』のことです。着物などには『洗い張り』といって、一度糸をほどいてから洗い、縫い直す技術がありますが、クリーニングはそれとは違い、形を崩さない状態で洗う技術のことなんですね。その中で、普段利用されるのは『ランドリークリーニング』、いわゆる水洗いです。水は洗剤を溶かし込む溶媒力としての力が高いために、洗剤と相性がよく、さらに水は分子が細かいので、汚れを落とす力が強いんです」

――なるほど。ではランドリークリーニングを頼むのが一番いいんですね?

吉原氏「ただ、ランドリークリーニングは生地を傷めやすいというデメリットがあります。そのデメリットに対応したのが『ドライクリーニング』です」

――ドライクリーニングもよく聞く言葉ですが、「ドライ」というのは乾いた状態のままで汚れを取ることでしょうか?

吉原氏「ドライクリーニングとは、『水以外のもので洗う技術』のことをいいます。石油溶剤など、水以外の溶剤を使うのが普通ですね。その原理を簡単に言うと、洗濯溶剤の中に衣類を入れると、比重の違いから汚れが浮き出します。この現象を利用し、衣類から汚れを分離していくのです。衣類へのダメージが少なく、また油汚れにも強いのが特徴です」

――ドライクリーニングはセーターなどに使うのが良いのですか?

吉原氏「はい。ウール製品など縮みや型崩れしやすい製品に向いています。ただ、ランドリーより時間とコストが多少かかります」

――普通のものはランドリークリーニングへ、縮みやすい毛のものや、油汚れをしたものはドライクリーニングへ、と使い分ければいいんですね。

吉原氏「そうですね。それから比較的新しい技術として、水を使い、本来ドライでしか洗えないものを洗う『ウェットクリーニング』というものもあります。仕上がりにかなりの技術を必要とするので、やっているところとやっていないところがあります。時間とコストが多めにかかり、仕上げに大変な手間がかるので、全部というのも難しいんですね」

――これらのクリーニングの使い分けについては、こちらで指摘するべきでしょうか?

吉原氏「これら3つの使い分けは、基本的には私たちのほうで衣類に付いているクリーニングの表示タグを確認していますので、まずお任せいただければと思います」

なるほど。「クリーニングのプロ」が的確に判断するから、余計なことは考えず、まずはクリーニング店や宅配クリーニングサービスに預けてみるのが一番、ということみたいです。今後もさまざまなクリーニングの疑問や、クリーニングの上手な活用方法など、さらに突っ込んで尋ねていきます!