財務省は8日、2012年の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支の黒字額は、前年比50.8%減の4兆7,036億円となった。黒字幅の縮小は2年連続で、比較可能な1985年度以降(以後同)最少の黒字額となる。

2012年国際収支状況(速報)(出典:財務省Webサイト)

貿易・サービス収支は、過去最大となる8兆4,139億円の赤字。赤字は2年連続で、赤字幅は前年より5兆358億円増加した。

貿易収支は、同じく過去最大の5兆8,051億円の赤字。赤字は2年連続で、赤字幅は前年比4兆1,887億円の増加となった。中国・EU向けを中心に輸出が減少した一方、鉱物性燃料や通信機などを中心に輸入が増えたためと見られる。

輸出額は61兆4,268億円で、前年比1兆2,979億円の減少。輸入額は67兆2,320億円で、同2兆8,907億円増加した。なお、輸出は2年連続の減少、輸入は3年連続の増加となる。

また、同省関税局がまとめた2012年貿易統計(通関ベース)によると、輸出に関しては、対米国が前年比1兆1,672億円(11.7%)増、対ASEANが同5,323億円(5.4%)増などとなった一方、対中国は同1兆3,912億円(10.8%)減、対EUが1兆1,190億円(14.7%)減などとなった。商品別では、自動車が同1兆209億円(12.4%)増、自動車の部分品が同2,013億円(6.7%)増などとなったのに対し、船舶が同3,303億円(16.1%)減、半導体電子部品が同2250億円(6.3%)減少した。

輸入については、対中東が前年比7,099億円(5.5%)増、対中国が同3,918億円(2.7%)増、対ASEANが同3,437億円(3.5%)増加。商品別では、液化天然ガスが同1兆2,143億円(25.4%)増、原粗油が同8,331億円(7.3%、数量2.0%)増、通信機が同5,723億円(36.3%)増などとなった一方、非鉄金属が同4,434億円(24.5%)減少した。

サービス収支は2兆6,087億円の赤字で、赤字幅は前年比8,471億円の増加。旅行収支は赤字幅を縮小したものの、輸送収支が赤字幅を拡大、さらにその他サービス収支が赤字に転じたことから、赤字幅は2年連続で拡大した。

所得収支は14兆2,613億円の黒字。黒字幅は前年比2,230億円の増加で、2年連続の拡大となる。債券利子等の受取減少により証券投資収益が減少したものの、再投資収益の受取増加により直接投資収益が増加したためと考えられる。

一方、資本収支については8兆5,104億円の流出超(前年8兆5,872億円の流出超)となった。