NTTドコモは1月7日、ベンチャー企業との連携強化に向けた取り組みに関する説明会を開催した。同社ではベンチャー企業・団体を対象にした起業支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」を2月7日より開始し、参加チームに対して助成金の支援やオフィススペースを含む開発環境の提供などを行っていく。

登壇するNTTドコモ フロンティアサービス部長の中山俊樹氏

ドコモ・イノベーションビレッジの概要

説明会には、NTTドコモ執行役員フロンティアサービス部長の中山俊樹氏が登壇した。今回の取り組みの目的を、同社ではスマートフォン向けサービスの更なる充実、新たな事業領域におけるサービス開発力の強化、日本におけるベンチャー企業育成のエコシステムへの貢献と説明している。

ドコモ・イノベーションビレッジとは

ドコモ・イノベーションビレッジの開始にあたり、NTTドコモでは2月7日から3月11日まで、さまざまな技術やビジネスモデル、アイデアを持った参加チームを募集する。第1回の募集テーマは「グローバル・スタンダードになりうる、モバイルを活用したサービス」。分野については特定していないが、「ドコモは特にコンテンツ、フォト、マシン・ツー・マシン、ヘルスケア、教育、環境、決済などの分野に注目している」という。ドコモが提供する製品もしくはサービスで利用できるものが対象となる。

ドコモ・イノベーションビレッジの概要と募集要項

応募条件は、企業、または今後起業を予定している個人であること、開発期間(約5カ月間)でプロダクト・サービスのβ版をリリースできること、定例ミーティングやイベントに参加すること、など。書類審査やプレゼンテーション、面接審査により参加チーム(5、6チームを予定)が決定される。参加チームは、9月下旬に開催予定のリリースイベントにおいて成果を発表する。優秀なサービスや技術を開発したチームに対してはドコモの提供するサービスとの連携やプロモーション支援などを行っていく。また、新たに設立したコーポレートベンチャーファンド「ドコモ・イノベーションファンド投資事業組合(以下、DIファンド)」(後述参照)からの出資が検討される。

第1回プログラムの実施スケジュール(写真左)。参加チームはドコモの支援を受けることができる

ドコモ・イノベーションビレッジでは、助成金として200万円が(Convertible Notes、転換社債に類似した特約付貸付契約の形で)提供される。また、東京都港区の共同オフィススペースが提供されるほか、ドコモのAPIや開発者向け技術情報の提供、開発用のクラウド環境「Bizホスティング Cloud」の提供、事業化や開発プロセスにおける支援を目的とした専門家からの指導の実施、などが行われる予定だ。

ファンドおよび運営会社を設立

今回の取り組みにあわせ、NTTドコモでは前述のDIファンドと、ファンド運営会社「ドコモ・イノベーションベンチャーズ(以下、DIV)」を2月下旬に設立する。DIファンドではモバイルに関連する有望なビジネスモデルや技術を保有するベンチャー企業に出資し、ドコモのサービス開発を強化していく。投資の対象となるのはスタートアップ / シードからミドル / レイターまで、幅広いステージのベンチャー企業。運用総額は100億円で、運用期間は10年間としている。

新たなファンドおよびファンド運営会社の設立

DIVはドコモが100%出資したファンド運営会社。DIファンドとNTT-IPファンドの業務執行、およびドコモ・イノベーションビレッジの運営を行う。DIVではNTT-IPが培ったノウハウを活用し、NTTグループを代表してベンチャー企業の発掘と育成・支援に取り組み、サービスや技術のイノベーションを加速させるとともに積極的な役割を果たすとしている。

また今回の取り組みに関連し、米シリコンバレーに拠点を置くドコモの子会社DOCOMO Capital, Incは起業支援事業者「500 Startups」が運営するベンチャーファンド「500 Startups II, L.P.」への出資を行う。ドコモでは500 Startupsのパートナーによる講演やメンタリングなどを通して、ドコモ・イノベーションビレッジ参加チームの支援を強化していく方針だという。

起業支援事業者500 Startupsと連携しドコモ・イノベーションビレッジ参加チームの支援を強化していく。同社創業者のデーブ・マクルーアとジョージ・ケラーマン(写真右)がメッセージを寄せた

最後に中山氏は「こうした新しい企業創造、事業創造の取り組みを通じて、日本のベンチャーエコシステムの一助となれれば幸いです。少しでも日本のビジネス界が元気になってくれたら良いな、と強く思っています」と締めくくった。

(記事提供: AndroWire編集部)