お祭り感いっぱいの楽しい「宮古毛ガニまつり」

東北の海が本格的に復活してきた。海域における放射性物質の濃度は正常な範囲だと発表され、松島や大船渡、三陸山田町ではかき小屋が開かれている。また、2月17日には、岩手県宮古市で恒例の「宮古毛ガニまつり」を開催! 三陸はさらに活気を帯びるはず。なんせ、カニ汁の振るまいや毛ガニ一本釣りといったおいしいイベントがめじろ押しなのだから。

古くから水産業で栄えてきた三陸の港町、岩手県宮古市。かつて、森進一の「港町ブルース」で「港 宮古 釜石 気仙沼」と歌われたように(古い!)、三陸海岸を代表する漁港のひとつであり、震災前は全国有数の漁獲水揚げを誇っていた。

ところが、2011年3月11日の東日本大震災で状況は一転。地震と津波によって未曾有(みぞう)の被害を受けたのだ。被害総額は宮古市だけで1兆9,600億円にも上ると推計されており、主要産業の漁業も壊滅的な状況に陥った。

「震災ニモ負ケズ 津波ニモ負ケズ」生きる三陸の海の男たち

それでもくじけず頑張るのが三陸の海の男たち。2013年に入り、宮古魚市場(いまでも岸壁や市場内のかさ上げ工事が行われている)には、活ホタテ、ヤリイカ、スルメイカ、大目ザケ、マイワシ、メジマグロ、ナマコ、タラ、アンコウなど“宮古前”の海の幸が水揚げされて並び、活況を呈し始めた。

三陸の海の幸の代表格・毛ガニも、ようやく1月半ばになって少しずつ水揚げされ始めたようだ。三陸地域は四季折々の海の幸に恵まれており、特に冬はアワビ、サケ、イクラ、ドンコなどのおいしい魚介類が豊富な季節。中でも毛ガニは、この時期の海の幸の王様格なのである。

毛ガニの水揚げ開始の報告には、早くから「宮古毛ガニまつり」を計画、準備していた宮古観光協会の人たちも、ホッとさせられたに違いない。毛ガニといえば北海道産が有名だが、三陸の毛ガニだって負けていない。北海道産に比べればやや小ぶりではあるが、その分、身が引き締まって甘みが強いのが特徴だという。

会場では採れたての毛ガニが安く買えるとあって、全国から大勢の人がやって来る

さて、2月17日に開かれる「宮古毛ガニまつり」は、2013年で第11回を数える。2003年に初めて開催されて以来、震災が起きた年も途切れることなく続けられている。2012年も、全国から1万4,500人もの人を動員して、海に生きる宮古を大いにアピールしたのである。

子供たちに大人気の毛ガニの一本釣り。毛ガニって釣れるんだ!

2013年もまた、宮古市魚市場特設会場において、体験セリ市、体験入札、輪投げで毛ガニをゲット、毛ガニの一本釣り、などなどのイベントが盛りだくさんに用意されている。先着300名にカニ汁が無料で振るまわれる大サービスも見逃せない!

「宮古毛ガニまつり」を主催する宮古観光協会の佐々木嘉晴さんは語る。「震災では、漁港施設も甚大な被害と受けました。実は祭りの会場となる宮古市魚市場もその周辺も、まだまだかさ上げ工事の真っ最中。駐車場もテトラポット置き場になっているありさまです。ですから会場設営も大変ですが、みなさんに楽しんでいただくためにも全力で頑張ります」。

今年は、復興支援を行っている全国の団体も宮古市に集結して「毛ガニまつり」を応援してくれるそう。なにやらサプライズの振るまいサービスまで予定しているとのことなので、こちらも楽しみである。

宮古毛ガニまつりの開催会場となる「宮古市魚市場」はただいま一面雪景色

リアス式海岸を見ながら走る三陸鉄道「こたつ列車」も復活

「宮古毛ガニまつり」が開催される2月のこの時期、宮古周辺では他にも旅情を誘うものがある。三陸鉄道北リアス線を走る「こたつ列車」だ。こたつ列車とは読んで字のごとく、車両内にこたつを設置した列車。通路を挟んで計12台のこたつが設置されていて、乗客はこたつに入ってぬくぬくしながら窓の外の景色を楽しむことができる(乗車は要予約)。

震災によってズタズタにされた三陸鉄道の鉄路も急ピッチで復旧作業が進められ、2012年12月には、約2年ぶりに久慈(くじ)~田野畑(たのはた)間で運行が再開したのだ。ちなみに、こたつ列車の運行は冬期限定。3月31日までの間、土日祝日に限って1日1往復のみ運行している。

毛ガニまつりが開催される宮古から、ちょっと足を伸ばして久慈にまで行けば、そこからこたつ列車に乗車することができる。リアス式海岸を見ながら走るほのぼのとしたこたつ列車の旅を楽しめるのは、暖かくなる前の今の時期だけ。貴重なこのチャンス、どうか逃されないよう!

こたつ列車には、鬼面をかぶっが「なもみ」が登場することも! (c)三陸鉄道

●information
宮古観光協会オフィシャルサイト
三陸鉄道オフィシャルサイト