花王はコーヒーに含まれているポリフェノール(コーヒークロロゲン酸)の、血管内皮機能改善と体脂肪低減作用について、ヒトで初めて検証を実施。2月4日、メディアを対象としたセミナーにて検証結果を発表した。
同社はコーヒーに含まれているコーヒークロロゲン酸に着目。セミナーでは、同社ヒューマンヘルスケア研究センターの桂木能久所長が、効能の検証方法や結果について発表した。
血管機能をうながし、体脂肪を燃やす
まず、コーヒークロロゲン酸の効能として、血管内皮機能の改善と体脂肪低減の働きがあることを提唱。血管内皮機能とは、血管の最内層にある細胞が持つ機能で、血管壁の収縮・弛緩(しかん)を調整して血圧を保つ働きを担っている。コーヒークロロゲン酸は、肝臓内の燃焼器官(ミトコンドリア)への脂肪取り込みを促進するため、体脂肪低減へと作用するという。
しかし、焙煎(ばいせん)したコーヒーでは、体脂肪が燃焼しにくくなってしまう。コーヒーは焙煎することでアロマが強くなり、同時に酸化成分(HHQ)が生成される。このHHQがコーヒークロロゲン酸に影響を与えていると考え、同社はHHQを低減したコーヒークロロゲン酸飲料(※)を用いて、ヒトを対象にした検証を行った。
12週間で92%の人が体重低減
内臓脂肪型肥満の男女(N=109)に、1日1杯のコーヒークロロゲン酸飲料を12週間かけて飲用したところ、平均して1.5kg体重が減少した。また、腹部全脂肪の面積は9.3センチメートル、腹部内臓脂肪の面積は4.4センチメートル低減。体重軽減者の割合を見ると、4週間の飲用で66%、8週間で89%、12週間で92%の人が低減しており、飲用が期間が長くなるほど効果が現れやすいことが分かった。
コーヒークロロゲン酸飲料は、程よい苦味や心地よい余韻など、コーヒー本来の味わいを楽しめる飲料に仕上げている。また、コーヒークロロゲン酸はすでに身体についている脂肪に対しても働きかけるため、食べ物に含まれる脂肪の吸引を抑える脂肪吸収阻害成分とは異なり、いつでも摂取して効果が得られるという。
桂木所長は、「今回は1日1杯で検証を行ったが、飲用量を1日2,3杯と増やしても、劇的に効果が上がるとは考えにくい。また、健康被害に関しては何度も調査を重ねてきたため、試飲量が増えることでのリスクはない」とコメントした。
同社は今春、コーヒークロロゲン酸飲料の商品化を予定している。
※約2.5倍の豆を使用。通常のコーヒーと比較して、コーヒークロロゲン酸は2倍、HHQは50分の1に抑えた飲料