関西経済連合会(以下、関経連)はこのほど、首都中枢機能のバックアップ拠点として、関西が最適であるとする「首都中枢機能のバックアップ体制構築と強靭な国土づくりに関する提言」を公表した。

関経連は合わせて、「首都中枢機能のバックアップに関する調査(中間報告)」の結果を発表。それによると、首都中枢機能停止による影響について、半数以上の企業団体が「非常に大きい」「やや大きい」と答えた項目は、1位「交通・物流中枢機能停止」、2位「ライフラインの停止」、3位「情報中枢機能の停止」、4位「金融中枢機能の停止」、5位「支援拠点機能の停止」となった。

企業における一時的な機能移転(バックアップ)の検討状況を調べたところ、「具体的に計画している」企業は54.1%、「検討はしていないが可能性はある」企業は15.5%。一方、「現在の立地で全て対応する」企業は20.4%だった。

企業におけるバックアップ(一時的な機能移転)の検討状況(出典:関西経済連合会Webサイト)

機能移転を検討している企業に対し、候補地・検討エリアを聞くと、73.8%が「関西圏」と回答。次いで、「埼玉県、千葉県、神奈川県」が23.8%、「中部圏」が18.3%、「その他」が13.5%、「東京23区内」が10.3%となった。

候補地の選定理由として、最も多かったのは「自社拠点がある」で90%。次は「同時被災のリスクが小さい」が58%となった。移転を想定している機能については、「責任権限の移転(バックアップ先への責任者の移動)」が52.4%で最多。以下、「データセンター」が49.2%、「事務・営業」が48.4%、「本社・企画」が47.6%、「責任権限の移譲(責任権限付与や権限代行の順位付け等)」が46.0%と続いた。

企業団体からは、「金融機関では、全銀システム、日銀ネットが停止すれば、日本全体で資金循環が停止するため、首都が被災してもシステム停止は避けなければならない」(金融・A行)、「東日本大震災以降、企業が関西に拠点を置く動きがみられる」(サービス業・D社)といったコメントが寄せられている。

首都機能停止時に関西圏が果たすべき役割としては、「金融中枢機能」が82.9%でトップ。次いで、「政治・行政中枢機能」が76.8%、「情報中枢機能」が72.4%などとなった。

関西を選択する場合の具体的な課題を尋ねたところ、「政治・行政機能の脆弱性」が50.8%、「首都圏とのアクセス性」が47.0%と、これら2項目が約半数を占めた。また、「国内外に対する情報収集・発信力」が30.9%で上位に入ったことがわかった。

同調査は、関経連法人会員および東京都23区内に立地する東証一部上場企業を対象に実施。調査期間は2012年11月9日~22日、回収率は18.1%。