シマンテックは、新たな企業戦略を1月に発表した。まず、この企業戦略について、シマンテック社長兼CEO、スティーブ・ベネット氏は「当社は人々、企業、そして国家が、デジタルライフを守ることに躍起になるのではなく、お客様のエネルギーと時間を本来すべきことの実現に集中できるようにしたいと考えています。優れた製品とサービスをお客様のためにテイラーメイドして提供し、同時にその情報収集、購入、利用、さらに必要なサポートの入手までを簡単に行えるようにすることです」と述べている。
10項目の注力分野とは
発表された企業戦略の大きな柱は、10項目の注力分野を定めたことである。
- モバイル業務生産性(Mobile Workforce Productivity)
- ノートンプロテクション(Norton Protection)
- ノートンクラウド(Norton Cloud)
- 情報セキュリティサービス(Information Security Services)
- アイデンティティ/コンテンツアウェアセキュリティゲートウェイ (Identity/Content-Aware Security Gateway)
- データセンターセキュリティ(Data Center Security)
- 事業継続(Business Continuity)
- 統合バックアップ(Integrated Backup)
- クラウドベース情報管理(Cloud-Based Information Management)
- オブジェクトストレージプラットフォーム(Object Storage Platform)
この分野に傾注することで、多様な顧客ニーズに対応していく。開発には、サービスによって異なるが、6カ月から24カ月かかるとのことである。新ソリューションでは、既存の製品とサービスをさらに改善し、まだ十分に満たされていない重要なニーズに対応できる革新的な新製品やサービスを開発することを目標としている。これにより、
- 家庭と職場の両方で、生産性と情報保護をシンプルに実現
- 企業の安全とコンプライアンスを守る
- 企業の情報とアプリケーションを途切れることなく継続して稼働させる
という、3つの顧客ニーズに対応するとのことである。ベネットは「お客様は今後も、それぞれ自分に何が最適かを判断して購入できる一方で、統合化された新しい製品やサービスへ移行するという選択肢を併せ持つことになります。これは、つねに進化する脅威、特にモバイルやクラウド経由の脅威に対抗するうえで必要な、より高い柔軟性を提供するものです」と語る。
マーケティング組織の強化も同時に
シマンテックでは注力分野と有機的成長を実現していくために、戦略的に資源や人員を投じてマーケティング組織の強化も行う。具体的には、「CEOオフィス」(Office of the CEO)を新設する。この部署では少数の幹部(最高財務責任者(CFO)、製品・サービス担当プレジデント、最高業務執行責任者(COO))が所属し、CEOとともに意思決定を行う。また、各機能部署 (人事、財務、法務など)のスタッフおよび各地域の営業リーダーはCEO直属とする。さらに、顧客ニーズに速やかに適応するため、日々、顧客と接する現場の社員に与える権限、情報、裁量を増やすとしている。一方で、幹部と中間管理職を削減する。
この点について、ベネットは「シマンテックの過去のリーダーと社員たちは、私たちが今後前進するうえで土台となる財産を残してくれました。次のステップは、市場に迅速に対応できるよう自らが変化することです。これにより、シマンテックの伝統と高い基準が保たれ、最終的には社員、顧客、パートナー、株主に大きな価値を提供し続けることができます」と語る。さらに、次世代のニーズに応えられるように、研究開発と社内イノベーションに対する投資も増加させる。また、他社との戦略的提携を行うことで、顧客への高価値化も目指すとのことだ。