金融庁は4日、信用金庫および信用組合が、会員や組合員である中小企業の海外子会社に直接融資できるよう規制を緩和する「信用金庫法施行令及び中小企業等協同組合法施行令の一部を改正する政令(案)」などを発表した。中小企業の海外進出を支援するのが狙い。同施策については、1月11日に閣議決定された「緊急経済対策」において、「信用金庫・信用組合による会員・組合員の海外子会社への融資等の解禁」に係る施策が「日本企業の海外展開支援等」の一項目として盛り込まれている。

信用金庫・信用組合による会員・組合員企業の海外子会社への直接貸付等の解禁の概要(出典:金融庁Webサイト)

信用金庫および信用組合は、会員・組合員間の相互扶助のための協同組織金融機関との位置づけのもと、会員・組合員である中小企業および個人への資金の貸付け等を原則とした上で、限定的に会員以外の者に対しての資金の貸付け等(以下、員外貸付)が認められている。

近年、会員・組合員の中小企業が海外子会社に製造工程の一部や販路の維持・開拓の機能を持たせるといった取組みが増加しているが、事業規模などの問題により、現地金融機関等から融資を受けることが困難な場合も多いという。しかし、これまでは会員・組合員企業の同子会社に対する直接融資は、現行制度上、員外貸付の一項目とされておらず認められていなかった。

この様な状況を鑑み、同庁は関連する政令の改正を決定。会員・組合員企業の海外子会社への直接融資を認めるとともに、同子会社に対して他の金融機関が実施した融資に債務保証を付けられるようにする。なお、直接融資できる同子会社は、原則議決権を50%以上持つ場合などの制限を設ける。施行は4月を予定している。